過熱するフルハーネス型安全帯『特別教育』について

目次


待ったなし、知らなかったでは済まされない!過熱するフルハーネス型安全帯『特別教育』について
今、フルハーネス型安全帯(正式名称:墜落制止用器具)の導入義務化による6時間の『特別教育』の受講会場が全国的に建設業の受講者を中心に満席になっており、講師の数も圧倒的に足りていない状況です。
更に、2019年2月1日から導入されたフルハーネス型安全帯の新規格に適合した商品もメーカーで品切れが続出している状態で入荷まで数カ月も掛かっている状況。まさにフルハーネスブームと言ってよいでしょう。
本コラムでは、フルハーネス型安全帯とその特別教育について確認していきましょう。
フルハーネス型安全帯 『特別教育』の対象は?
根拠法令
労働安全衛生法 第59条-3より
労働安全衛生規則第36条-41
『高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く。)』
次にあげる作業以外でも高さが2m以上であって、作業床を設けることが困難な箇所においてフルハーネス型を使用する場合は、特別教育の対象となります。
フルハーネス型安全帯特別教育の主な作業対象
特別教育が必要な具体的な作業例
- 建築鉄骨の組み立て、解体又は変更作業(鉄塔の組立て、解体又は変更作業を含む)
- 柱上作業(電気、通信柱等)
- 木造家屋等低層住宅における作業
・屋根面を作業床をみなされない急勾配(勾配6/10以上)又は滑りやすい材料の屋根下地であって、
屋根足場を設けることができない屋根上作業
・梁、母屋、桁上、垂木上での作業
・作業床を設けることができない一側足場(抱き足場)での作業 - 足場の組立て、解体又は変更作業において、つり棚足場の足場板の設置または撤去等
作業や、単管上に足をのせて作業床の設置又は撤去等の作業 - 鉄筋コンクリート(RC)造解体作業において、梁上から鉄筋等を切断する作業
- スレート屋根上作業で踏み抜きによる墜落防止対策のために、歩み板を設置または撤去する作業
- 送電線架線作業
このように、作業のすべてが特別教育の対象となる場合もあれば、作業過程の一部に対象作業が含まれている場合もあることに十分留意しなければなりません。
なお、パトロールは作業となる為、特別教育の対象となります。パトロールではなく、作業もせずに通過するだけの場合の特別教育は不要となります。
代表的なQ&Aはこちら
どの様な場合にフルハーネス型が必要なのですか?
高さ2m以上の作業床等のない高所作業ではフルハーネス型を着用することが原則となりますが、ガイドラインによると一般的な建設作業では5m以上その他の作業では6.75m以上を超える作業ではフルハーネス型の着用をすることになっております。
高さが5m未満の作業床が設けられない作業場所ではどうすればよいですか?
原則としてフルハーネス型ですが、フルハーネス型の着用者が地面に到達する恐れのある場合は胴ベルト型を着用します。
高所作業車のバケット・バスケット・デッキ内は作業床として認められますか?
労働局の見解では認められるとのことです。
現在使用しているフルハーネス型及び胴ベルト型はいつまで使用できますか?
2022年1月1日まで猶予期間となり使用可能です。猶予期間内であっても廃棄基準に達している場合は使用できません。
このフルハーネス型特別教育の施行日はいつですか?
2019年2月1日。特別教育の受講に猶予期間はありません。
※一部例外ケースもございますので、個別に詳細確認が必要です。
※6時間の特別教育には一部省略規定もありますので、個別に詳細確認が必要です。
特別教育のポイント
特別教育は事業者責任での開催となります。
又は、私のような特別教育の資格を取得した講師が事業者に委託を受けて特別教育を担当して受講終了証を事業者責任で発行するケースもあります。
『事業者は特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録作成して、これを3年間保存しておかなければならない。』とされております。
したがって、重大災害の場合等は真っ先に労働基準監督署や警察等から特別教育の受講確認が求められます。
未受講の場合は罰則規定が適用される段階に入りました。
終わりに
待ったなし、知らなかったでは済まされない!
働く人の命と会社を守るためにも、『安全はすべてに優先する!』という姿勢を会社、協力会が鮮明にするためにも早期の対応をお勧め致します。
労働安全教育は日々の朝礼やKY活動、リスクアセスメント、安全大会等、あらゆる機会で教育して必要に応じて資格を取得する時代となっています。
こういう時代だから元請けの信頼を得る為に積極的に必要な『特別教育』を取得し、人材確保・受注確保の武器にしているという積極的な攻めの経営者も一部にはいるものの、担当者任せで法令違反となっていることにすら気が付かない事業者も多いのが中小企業の現場の実感です。
私は、安全大会の講話の中や打ち合わせ時に『特別教育』の必要性等を日々訴えているものの、まだまだ認知度や意識が高まっているとは言えません。
『特別教育』の講師資格を多数取得している我々のような安全を訴える講師やコンサルタントの使命は大きいと日々決意を新たにしている今日この頃です。
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