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動作研究とは?モーションマインド、両手作業分析、微動作分析(サーブリッグ分析)を解説

動作研究をイメージする画像
戸神 猛

戸神 猛

工場改革コンサルタント

シチズン時計、ベンチャー系リチウム電池開発・製造会社で工場運営や生産技術業務を複数歴任。現在はコンサルタントとして現場改善や工場改革支援に尽力中。

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動作研究とは

動作研究は、方法研究に属する手法の1つです。あらゆる仕事には、必ず一番良いやり方があります。

本ページでは、ただ漫然と現場を眺めるのではなく、一番良いやり方を追求する姿勢=モーション・マインドを持つために必要な知識について解説しています。
また、動作研究の中で代表的な分析手法である両手作業分析、微動作分析(サーブリッグ分析)について、概要を確認していきましょう。

動作研究は「方法研究に属する手法」の1つ

動作研究は、IEにおける「方法研究に属する手法」の1つとして位置付けられています。

ここからは、動作研究とは何か、考え方や種類、活用のイメージについて確認していきましょう。

動作研究は、IEにおける「方法研究に属する手法」の1つ

より合理的な動作を追求するための分析

動作研究とは、体の動きや目の動きを分析し、より合理的な動作を追求するための分析のことを言います。

動作研究では、
・この動きにムダはないのか?
・もっと楽に作業できないのか?
・動作の違いによる時間の差はないのか?

こういったことを起点として、体の動きや目の動作を分析し、徹底的に合理化を進めていきます。

ここでワンポイントです。
動作研究は、一般的には、工程分析などにより問題として挙がってきた工程に対して、それをさらに詳細に分析するときに活用される分析手法です。問題となるものをある程度明確にした上で、さらに細かく分析するために動作研究を活用するイメージです。

動作研究とは

必ず「一番良いやり方がある」と考える

現場の作業は、一見すると同じやり方で行っているように見えても、作業者によって、あるいはその時々によって違うやり方で行われていることが多いものです。色々なやり方がある場合、動作研究では必ず「一番良いやり方がある」と考えるのが基本となります。

つまり、ただ現場を漫然と眺めるのではなく、作業者の両手の使い方、体の動かし方、作業順序などを細かく観察し、一番良いやり方を追求する姿勢、モーション・マインドを持つことが不可欠となるのです。

さて、モーション・マインドという大事なキーワードが出てきましたね。モーション・マインドの詳細は後程確認してみましょう。

一番良いやり方を追求する姿勢、モーション・マインドを持つことが不可欠

動作研究の活用シーン

それでは次に、動作研究の活用シーンについて確認していきます。

こんな時には動作研究を使おう!

動作研究は、次のようなシーンで活用されます。

  • 動作の問題点を見つけ改善したい時
  • 治工具や作業域内の配置を改善したい時
  • 標準時間を設定したい時
  • モーション・マインドを養いたい時(人材育成)

それぞれ詳細を確認していきましょう。

動作研究の活用シーン

動作の問題点を見つけ改善したい時

まずは、「動作の問題点を見つけ改善したい時」についてです。

動作研究による改善では、「ハタラキヤスク」の視点が大切です。

ハタラキヤスクとは、下記のことを指します。

ハ・・・早く
タ・・・正しく
ラ・・・楽に
キ・・・きれいに
ヤスク・・・安く

まずは動作経済の原則を踏まえて動作研究を行い、楽に作業をすることを考えます。楽に作業ができるようになれば、正しく早く、そしてきれいに作業ができるようになります。結果として、安く製品をつくることに繋がるのです。

動作経済の原則については、下記のページで詳細を解説しています

こちらをチェック!

動作経済の原則とは 4つの基本原則で動作を体系化した「動作経済の原則」 動作経済の原則とは、最小限の疲労で最大の成果を上げられるように、最も良い作業動作を実現しようとする経済的な法則のことを言います。 動作改善...

作業動作をイメージする画像
動作の問題点を見つけ改善したい時」

治工具や作業域内の配置を改善したい時

次に、「治工具や作業域内の配置を改善したい時」についてです。仕事において、一番高価なツールは何だか分かりますか?

それは人の手です。どんなツールよりも人の手が一番高価なのです。

一番高価なツールである手が、手待ちになっている、保持しているだけなのは非常にもったいないことですよね。この高価なツールを付加価値の高い作業へ集中させるために治工具の活用・各種配置の最適化が必須となります。

そのためにも、「動作経済の原則」を考慮し、人の手にしかできないことに集中するための作業設計を行うことが大切です。

治工具や作業域内の配置を改善したい時

標準時間を設定したい時

次に、「標準時間を設定したい時」です。

例えば、AさんとBさん、2人の作業者がいるとします。Aさんは仕事が遅く、Bさんは仕事が早い時、「Aさんはのんびり屋さんだから仕方がないなぁ。」なんて言っている管理者は失格です。

すぐに管理者から降りてください。違いを放置するのではなく、近づけるためにどんなアプローチをしていくかを考えるのが管理者の仕事です。

どの仕事はどのくらいの時間で行うのが標準なのか、これを動作研究を活用し設定することで、遅い人に対して的確な指導ができるようになります。そのためにも、動作研究の考え方の活用は必要となるのです。

標準時間を設定したい時

モーション・マインドを養いたい時(人材育成)

最後に、「モーション・マインドを養いたい時(人材育成)」です。

「あれ?工程の状態に何だか違和感があるぞ?何か異常が起きているかも。」

このように、“異常に気付ける人材”は、モーション・マインドを持っています。異常に気付くことができる人が増えれば、改善はどんどん進んでいきますよね。改善の入り口は、異常や問題に気付くことです。異常や問題に気付ける人材を育てるためにも、モーション・マインドを持つ人材を育てることが大切です。

以上の4つが動作研究の活用シーン、活用目的となります。

モーション・マインドを養いたい時(人材育成)

動作研究の種類と特徴

それでは次に、動作研究の種類と特徴について確認しましょう。

2つの代表的な分析手法

動作研究における2つの代表的な分析手法があります。

それは、両手作業分析と微動作分析です。微動作分析は、サーブリッグ分析とも呼びます。

両手作業分析は、動作レベルで分析を行います。
作業者の右手と左手の動作の内容と順序をつかんで、問題点を見つけていきます。サーブリッグ分析より粗い分析となりますが、目視で分析できるので、比較的手軽に活用できることが特徴です。

微動作分析(サーブリッグ分析)は、微動作レベルで分析を行います。
作業者の右手と左手を中心とした18種類の基本的な動作要素を使い、作業を詳細に分析していきます。両手作業分析より細かい分析ができますが、詳細に分析ができる分だけ手間と時間が掛かかってしまうという特徴があります。

どちらも動作研究の手法ですが、分析の細かさに違いがあります。2つの使い分けとしては、両手作業分析で大まかに分析を行い、サーブリッグ分析で詳細分析を行うというイメージです。

両方のメリットを上手く活用すると効果的と覚えておきましょう。

動作研究における2つの代表的な分析手法

高速動画等のITツールを上手く活用しよう!

なお、動作研究では、体の動きを細かく観察していきます。その際、目視だけでは、正確な分析や繰返しの観察ができないこともあります。

従って、通常の動画や高速動画等のITツールを上手く活用していきましょう。観察の方法に関しては、「時間研究の考え方と活用法」の講座で詳細の学習を行います。

、動作研究では、体の動きを細かく観察

モーション・マインド(動作意識)とは

動作研究の狙い=モーション・マインド(動作意識)を養う

動作研究の狙いを一言で言うと、このモーション・マインド(動作意識)を養うことです。モーション・マインドとは、動作の違いに気づく感性や心構えのことです。このマインドを上げることが動作研究の狙いでもあると言えるほど大事な視点となります。

一般に、人によって作業時間が違う時、志気(やる気)の差に注目されやすい傾向があります。「あの人はやる気がないから遅いんだ!」という議論になりがちです。しかし、実際には動作の違いによる影響が大きいという事実があります。志気を高めることで一時的に作業時間の短縮になるかもしれません。

しかし、そもそもの動作の違いを改善しないことには、継続的な改善の成果を出すことはできません。モーション・マインドの視点を持ち、精神論で終わらせることなく、本質的な改善をすることが大切です。

動作研究の狙い=モーション・マインド(動作意識)を養う

モーション・マインドを持った人材をいかに増やしていくか

モーション・マインドを持ち、気付いてほしいことを挙げてみましょう。

  • 部品、材料、工具等のモノの置き場所、置き方が悪い
  • 足を踏み出す時、手を伸ばす時等に、身体部分の大きな動きが頻繁に見られる
  • 腰を曲げる等、作業姿勢が悪かったり、物を探す・選ぶ手間がかかっている
  • 部品、材料、工具等の取り置き、持ち替えが何度も発生している
  • その時々で作業手順が異なっている
  • 重い物を取り扱ったり、神経を使う作業をしていて疲労が溜まりやすい

これらのことに気付くことができないと、どんな悪い結果が起きるでしょうか?

  • 不良の発生
  • 生産性の低下
  • 在庫過多
  • 品質のバラツキ
  • 工数のバラツキ
  • 不安定なモノの流れ

これらのことが発生してしまいますよね。

これらの様々な悪い結果を引き起こしてしまうため、モーション・マインドを持った人材をいかに増やしていくかは、非常に重要なテーマとなります。

モーション・マインドを持ち、気付いてほしいこと

モーション・マインド(動作意識)を体得するには

それでは次に、モーション・マインド(動作意識)の体得について、もう少し詳しく確認していきましょう。

現場の作業を漫然と眺めていてはいけない

現場監督者やリーダーは、現場の作業を漫然と眺めていてはいけません。モーション・マインド(動作意識)を持ち、「作業者の両手の使い方」「体の動かし方」「作業の進め方」等の細かいステップに区切って観察し、その中に潜むムダ、ムラ、ムリを発見する姿勢を体に染み付かせることが必要不可欠です。

正しい考え方と手順を踏み、最良のやり方を追求し、それを行うことが出来るスキルを身に付けていくことが求められます。

正しい考え方と手順を踏み、最良のやり方を追求する

4つのモーション・マインド(動作意識)

現場監督者やリーダーは、4つのモーション・マインド(動作意識)を体得するようにしましょう。

1つ目は、まずは動作の違いに気付くことです。
2つ目は、動作を正しく分析し、どこに違いがあるか見つけ出すことです。
3つ目は、動作の違いを明らかにし、良い動作を判断することです。
4つ目は、良い動作を設計することです。

これら4つがモーションマインドの大切な視点ですが、まずは対象となる作業や業務をよく観察し、動作のムダムラムリに敏感に気付く力が非常に大事だと覚えておきましょう。

4つのモーション・マインド(動作意識)

モーション・マインドを持ち本当の意味で仕事をカイゼンする

そして、作業の中における本当に重要なこと、つまり、価値ある動作を見極めることができないと、安易な改善しかできません!

  • 事実や数値データに価値を置くこと
  • 事実や数値データに基づいて考える・報告する・話し合うこと
  • 目の前の問題が発生している真の原因をつかむこと

モーション・マインドを持ち、これら当たり前のことを着実に継続していくことだけが、“本当の意味で仕事をカイゼンする”ということを念頭に動作分析を行っていきましょう。

モーション・マインドを持ち本当の意味で仕事をカイゼンする

両手作業分析とは

両手作業分析はどんな分析手法?

両手作業分析とは、作業者の両手の動作の順序や方法を、「作業」「移動」「保持」「手待ち」の4つの視点から分析する方法のことです。

動作研究は、両手作業分析とサーブリッグ分析の2つが代表的な分析手法であり、その1つとなります。
2つの分析手法の違いを確認しましょう。

両手作業分析の特徴

両手作業分析は、動作レベルで分析を行います。
作業者の右手と左手の動作の内容と順序をつかんで、問題点を見つけていきます。
サーブリッグ分析より粗い分析となりますが、目視で分析できるので、比較的手軽に活用できることが特徴です。

微動作分析(サーブリッグ分析)の特徴

微動作分析(サーブリッグ分析)は、微動作レベルで分析を行います。
作業者の右手と左手を中心とした18種類の基本的な動作要素を使い、作業を詳細に分析していきます。
両手作業分析より細かい分析ができますが、詳細に分析ができる分だけ手間と時間が掛かってしまうという特徴があります。

両手作業分析で大まかに分析してから、サーブリッグ分析で詳細部分の分析をすると、両方のメリットを上手く活用できて効果的です。

両手作業分析とは

両手作業分析の4種類の分析記号

両手作業分析における区分は、加工、移動、保持、手待ちの4種類です。

加工は、〇の記号で表します。一定の場所で、対象物(材料、部品、治工具等)を取り扱うこと。掴む、離す、置く、並べる、組立てる、使う、操作する等が該当します。

移動は、矢印の記号で表します。手(その他の身体部位)が目的を持って移動すること。対象物へ手を伸ばす、対象物の位置を変えるために持って動かすなどが該当します。

保持は、Dの形の記号で表します。作業の進行を助けるために、対象物を持って特定の位置に保持(固定)することを意味しています。

手待ちは、逆三角形の記号で表します。手が何もしないで遊んでいるか、次の動作をするために何もしないで待っていることを意味しています。

これらの4つの記号のみで分析を行うので、サーブリッグ分析の18種類と比べ、動作の区分は粗くなりますが、手軽に活用できるというメリットが大きく、様々な業種で活用されています。

両手作業分析における区分

微動作分析(サーブリッグ分析)とは

微動作分析(サーブリッグ分析)はどんな分析手法?

微動作分析(サーブリッグ分析)とは、作業者の両手を中心とした動作の順序や方法を18種類の基本的な動作要素の繋がりで分析する方法のことです。
この18種類の基本的な要素をサーブリッグと呼び、名称と記号が定められています。

以降、呼び方をサーブリッグ分析に統一します。

動作研究には両手作業分析とサーブリッグ分析があることは既に学びました。
両手作業分析を利用し大まかに全体を掴み、サーブリッグ分析で詳細を分析していく使い方がコツでしたね。

ここでワンポイントです。サーブリッグ分析は、ギルブレス(Gilbreth)によって考案されたもので、サーブリッグ(Therblig)という呼び名はギルブレスのつづりを逆に読んだものとなります。

微動作分析(サーブリッグ分析)とは

必要な時には目や足も分析対象にする

サーブリッグ分析では、右手・左手の動作を中心に、必要な時には目や足も分析対象にします。

作業者の身体的・心的動作を、作業者が取扱う対象物との関係から、目的別に細分化して捉えていくのです。

サーブリッグ分析の狙いは次の通りです。
まずは、人間の動作を分類し、価値を生んでいないものを明確にすることで改善の切り口を見つけることです。
そして、サーブリッグ記号の意味・使い方を十分理解することにより、動作を見る目(モーション・マインド)を身に付けることです。

必要な時には目や足も分析対象にする

サーブリッグ記号の3つの分類

サーブリッグ記号は、作業者が作業の中でどのような動作をしているのかによって、次の3つに分類します。

第Ⅰ類、作業を進めるのに必要な要素です。
第Ⅱ類、第Ⅰ類の要素を遅くする傾向がある要素です。
第Ⅲ類、仕事が進んでいない要素です。

サーブリッグ記号の18種類というのは、第Ⅰ類の8種類、第Ⅱ類の6種類、第Ⅲ類の4種類を合計した数字となります。

ここでワンポイントです。18種類を漠然と覚えようとすると大変ですが、大きく3分類あり、それぞれ4~8種類あると覚えておくと分かりやすくなります。

サーブリッグ記号の3つの分類

第Ⅰ類の要素は全8種類

これらが、第Ⅰ類の要素の全8種類です。
これらは、動作の基本をなすもので、仕事そのものとハンドリングからなります。
この中で、価値を生む要素は、「組合せ」「分解する」「使用する」の3つだけです。
この3つがたくさん出てくる動作は、効率的な動作ということになります。

第Ⅰ類の要素は全8種類

第Ⅱ類の要素は全6種類

これらが、第Ⅱ類の全6種類です。
第Ⅱ類は、第Ⅰ類の動作を遅れさせる要素で、治工具の置き方・使い方や材料の置き方に問題がある場合などに発生すると言われています。

第Ⅱ類の要素は全6種類

第Ⅲ類の要素は全4種類

これらが、第Ⅲ類の全4種類です。
第Ⅲ類は、仕事が進んでいない状態を指す動作要素で、動作のバランスが悪い時、特に両手のバランスが悪かったり、前後工程との繋がりが悪い等により発生すると言われています。

第Ⅲ類の要素は全4種類

18種類の一覧はここに示す通りです。
この中で、第Ⅰ類「組合せ」「分解する」「使用する」の3つの要素以外は全て改善対象となります。

なお、18種類全て覚える必要はありません。
微動作を動作研究により書き出して、この表を見ながらサーブリック記号を当てはめていくことが出来るスキルを付けていくことが大切です。

第Ⅰ類「組合せ」「分解する」「使用する」の3つの要素以外は全て改善対象

動作研究のまとめ

以上で学んだことをまとめてみましょう。

動作研究とは?

  • 動作研究とは、体の動きや目の動きを分析し、より合理的な動作を追求するための分析のこと
  • モーション・マインド(動作意識)とは、動作の違いに気づく感性や心構えのこと
  • 4つのモーション・マインドとは、「動作の違いに気付く」「動作を正しく分析し、どこに違いがあるか見つけ出す」「動作の違いを明らかにし、良い動作を判断する」「良い動作を設計する」
  • 動作研究の代表的な手法は、両手作業分析と微動作分析(サーブリッグ分析)
  • 両手作業分析は、動作レベルで分析を行う
  • サーブリッグ分析より粗い分析となりますが、目視で分析できるので、比較的手軽に活用できることが特徴
  • 微動作分析(サーブリッグ分析)は、微動作レベルで分析を行う
  • 両手作業分析より細かい分析ができますが、詳細に分析ができる分だけ手間と時間が掛かってしまうという特徴

いかがでしたか?動作研究の概要はイメージできましたか?
動作研究では必ず「一番良いやり方がある」と考えるのが基本とです。ただ現場を漫然と眺めるのではなく、モーション・マインドを持ち、作業者の両手の使い方、体の動かし方、作業順序などを細かく観察できるようになりたいですね!

参考文献
・新版IEの基礎(著:藤田彰久 、建帛社、1997年)
・現場実践シリーズ IE7つ道具(著:杉原寛 他 、日刊工業新聞社、1993年)

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