整理整頓における2S3定、3定管理のポイント(姿置き、形跡整頓)
目次
2S3定(にえすさんてい)/3定管理・三定管理(さんていかんり)とは
あなたの会社、職場では、5S活動を行なっていますか?5S活動では、どんな取り組みに力を入れていますか?
5S活動においては、赤札作戦や一斉清掃など、さまざまな取り組みが行われておりますが、中でも最重要と言われているものが、「3定管理」です。
3定管理とは、「何が」を表す定品、「どこに」を表す定位、「いくつ」を表す定量の“3つの定”を取った管理方法です。3つの「定」を明確にした物の置き方をすることで、物の置き場が乱れない状態をつくり維持することを狙いとしています。2S(整理整頓)において3定は重要なキーワードであることから、「2S3定」と呼ばれています。5S活動と言ったら「2S3定」と言われるほど重要なポイントであると覚えておきましょう。
物の置き場を見た時、3定が明確になっていなければ、「物がない」のかすら判別できません。
元々必要な物が準備されていないのか、本来は置いてあるはずのものが今現在使用中で無いのかが分からないと、考えるムダ、探すムダ、聞くムダなど様々な無駄につながってしまいます。
つまり、3定があってはじめて、異常な状態に気付くことができるのです。作業では「標準」がないと、良いのか悪いのかが分からないのと同じで、物の置き方でも3定という「標準」が必要だということですね。
3定管理により、何がどこに何個置いてある状態が正常なのか、誰でも分かるようになり、作業効率の向上に繋がります。
3定管理は探すムダ、教えるムダを削減する
この写真を見てください。あなたの職場の工具台車は、このような状態になってはいませんか?
この状態では、たとえベテランだとしても、間違いなく探すムダは発生してしまいますよね。いつも置き場が違うため、イチイチ探す時間が出てしまうと、ムダな時間が発生してしまうのはもちろん、気持ちの面でも悪い影響が現れます。
忙しい時には、イライラしてくるのです。「イライラ」は、職場の雰囲気の悪化、人間関係のギクシャク、ミスの誘発等、様々なリスクに繋がります。
そして、新人に対しても、これはスパナ、これはメガネレンチ、といったように、イチイチ全ての工具名を教えなければいけなくなります。いくらOJTが大事とは言え、本来見れば分かるような単純なことをベテランが1つ1つ教える時間は、ムダの1つと認識しなければなりません。
名称などの単純なことはパッと見てすぐに分かるようにしておき、その他ベテランの人でなければ教えられないことに時間を使っていきたいものです。
例えば、勘コツ等の技能に関する部分に対する教育訓練に時間を使うことができれば、会社の将来のための時間に代わっていきます。三定管理は、教育訓練の視点から見ても非常に重要であることを、特に管理者・監督者は認識をしておくことが大切です。
3定管理のレベルは、5S活動のレベルに等しい、もしくは現場力のレベルに等しいと言っても過言ではありません。工場の中に入った瞬間、「あ、この現場は生産性が高いな」と感じる会社では、ほぼ100%この3定管理が定着しています。あなたの会社でも是非こだわりを持った3定管理を推進してみてください。
姿置き(すがたおき)/形跡整頓(けいせきせいとん)とは
3定管理の代表例、姿置き/形跡整頓とは
姿置き/形跡整頓とは、治工具等のモノの整頓方法の一種で、予めそこに置くモノの形の跡を置き場に描いておき、使用したモノを戻す際に、誰でもすぐに戻せる仕組みのこと。2S3定の代表例で、生産現場の治工具だけではなく、事務所における事務用品等にも応用されています。姿置きも形跡整頓も同じ意味ですので、呼びやすい方で構いません。
例えば、工具台車にいて、型をくり抜いておくことで、もとの場所に戻さなければ入らない、あるいは隙間が出来るといった方法があります。また、工具掛けにおいて、工具の形を表示しておき、同じ形の場所に戻すといった方法もあります。
なお、どの方法で姿置きを行なうかは、作業内容や使用頻度、レイアウト等によっても変わってきます。「必ずこの方法でなければならない」というものはありませんので、自職場に合う方法を考えて選定することが大切です。
繰り返しになりますが、これらの工具台車・工具掛けの姿置きにより、「工具の紛失にすぐに気付く」「間違った場所に置いた時にすぐに気付く」といった効果があります。ただし、あくまで姿置きは「迷いや間違いを無くし、効率を高める手段である」ことを忘れないように注意をしましょう。
よくある失敗事例は、形にこだわり過ぎてしまうことです。例えば、作業の中で高頻度で使用するにも関わらず、少し離れた工具掛けに毎回置くというルールを作ってしまったらどうなるでしょうか?
誰も守らなくなってしまい、余計に置き場が乱れてしまいますよね。
従って、無理なルールをつくってしまい、結局誰もルールを守らなくなるようなやり方だけは避けなければいけません。手段が目的とならないよう、作業性の変化や効果の検証を忘れないようにすることが大切です。
姿置き/形跡整頓の事例
この写真は、工具台車や工具掛けの姿置きの事例です。
写真の左の工具台車のように、型をくり抜いておくことで、もとの場所に戻さなければ入らない、あるいは隙間が出来るといった方法があります。また、右の写真の工具掛けのように、工具の形を表示しておき、同じ形の場所に戻すといった方法もあります。
このような状態で現場に物が置かれていたら、見ただけですぐに必要な物が取り出せるので、作業効率の向上はもちろん、イライラせずに仕事ができるというメリットもありますね。自分の職場でもこのような形跡整頓(姿置き)を活用できないか、検討してみましょう。
4定管理、5定管理、6定管理とは?
それぞれの「定」は何を指す?
3定管理は、5S活動においても最重要になる取り組みであることをここまでの解説で確認しました。
さて、実は3定管理からさらに発展させた形である、4定管理、5定管理、6定管理とは何か知っていますか?4定、5定、6定と呼ぶ場合には、下記の3つを追加します。
・定方向(どの向きで)
・定高(どの高さまで)
・定時(どのタイミングで)
多くの場合、3定にこれらのどれかを1つを加えて「4定管理」、2つを加えて「5定管理」、全て加えて「6定管理」と呼んでいます。
つまり、下記となります。
4定管理 ・・・ 「定品、定位、定量、定方向」 or 「定品、定位、定量、定高」 or 「定品、定位、定量、定時」
5定管理 ・・・ 「定品、定位、定量、定方向、定高」 or 「定品、定位、定量、定方向、定時」 or 「定品、定位、定量、定高、定時」
6定管理 ・・・ 「定品、定位、定量、定方向、定高、定時」
会社によってどのような定義にしているかは異なります。3定より4定の方が優れているというものではなく、どんなことに意識を高めたいかで定義をしていけば良いでしょう。
自職場では何が必要か考えることが大切
例えば、大物の置き場が多く、水平直角な物の置き方を意識させたい場合は「定方向」を加えたりします。
高さ制限がなかなか守られずに苦労していて、それを意識させたい場合は「定高」を加えたりします。
また、ジャストインタイムに取り組んでいる会社等では、物を決められた時間・タイミングに動かすことが求められます。その「時間」に対する意識を持たせるために、「定時」を加えることもあります。
以上のように、4定、5定、6定で何を定義するのか、明確なルールは存在しません。もちろん、「六定の方が多いから良いんだ」なんてこともありません。どんな定義にしても間違いではありませんので、自職場で必要なことを考えた上で、「自分たちの〇定はこれだ」を納得感を持って決めていくことが大切となります。
2S3定/3定管理のポイントのまとめ
以上で学んだことをまとめてみましょう。
2S3定/3定管理とは?
- 3定管理とは、「何が」を表す定品、「どこに」を表す定位、「いくつ」を表す定量の“3つの定”を取った管理方法のこと
- 3つの「定」を明確にした物の置き方をすることで、物の置き場が乱れない状態をつくり維持することを狙いとしている
- 2S(整理整頓)において3定は重要なキーワードであることから、「2S3定」と呼ばれている
- 5S活動と言ったら「2S3定」と言われるほど重要なポイント
- 3定管理は探すムダ、教えるムダを削減する
姿置き/形跡整頓とは
- 姿置き/形跡整頓とは、治工具等のモノの整頓方法の一種で、予めそこに置くモノの形の跡を置き場に描いておき、使用したモノを戻す際に、誰でもすぐに戻せる仕組みのこと
- 2S3定の代表例で、生産現場の治工具だけではなく、事務所における事務用品等にも応用されている
- 姿置きも形跡整頓も同じ意味なので、呼びやすい方でOK
- 姿置きにより、「工具の紛失にすぐに気付く」「間違った場所に置いた時にすぐに気付く」といった効果がある
- 形にこだわり過ぎてしまうと、誰も守らなくなってしまい、余計に置き場が乱れてしまうので注意
- 手段が目的とならないよう、作業性の変化や効果の検証を忘れないようにすることが大切
4定管理、5定管理、6定管理とは
- 3定管理に、定方向(どの向きで)、定高(どの高さまで)、定時(どのタイミングで)を追加したもの
- 3定より4定の方が優れているというものではなく、どんなことに意識を高めたいかで定義をしていく
いかがでしたか?たかが3定管理、されど3定管理。5S活動をこれから本格的に進めようとしている会社はもちろん、長年活動しているけれどもマンネリ化してしまっている会社では、今一度この3定管理をこだわりを持って徹底的に行なってみてください。
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