パートナー会社を巻き込んだ Win-Winの改善活動の進め方

目次


発注側と請負側がWin-Winの関係で改善活動を進めることが出来た事例を紹介
工場では、パートナー会社(請負業者)へ生産の一部を委託するという形態を取っているケースが多々あります。
改善活動の際には、この請負業者をどのように巻き込んで進めていくのかが1つの課題です。
本改善事例では、ある印刷会社で行った、発注側と請負側がWin-Winの関係で改善活動を進めることが出来た事例を紹介します。


発注側と請負側がWin-Winの関係で改善活動を進めた事例の紹介
請負業者を活用している際の支払い条件
まず始めに、請負業者を活用している際の支払い条件についておさらいしましょう。
一般に、大きく分けると2つのパターンの支払い条件が挙げられます。
1つは、1時間当たりの金額を設定するパターンです。
例えば、1時間3,000円、といったような形で、生産に使われた時間の分だけ支払いを行う方法です。
この条件を採用している場合、基本的には製品1個、あるいは1案件あたりの生産に掛かる工数等が決まっており、「工数を借りる」形態となります。
このパターンにおいて、発注側は、仕事の結果(生産性など)をしっかりと把握し、適正な時間で仕事がなされたかを管理することが大切です。
工数を借りている以上、事前に予測される工数に対して、結果としてオーバーしていた場合は、その理由を確認し、必要に応じて是正を促していかなければなりません。
一方、もう1つのパターンとして、1個、1件、1枚あたりの金額を決めて請負を依頼する場合もあります。
例えば1個100円、1枚150円という形です。
この場合、発注側は、請負業者がいくら工数を使っても支払い金額は同じとなります。
従って、請負業者が何時間掛けても支払いは同じである為、発注側は管理や改善を行なって生産性を上げていく必要はないと考えられてしまうケースもあります。
しかし、その考え方は間違いです。なぜでしょうか?
請負業者を巻き込んだ改善活動の必要性
なぜそれではいけないかと言うと、現在の請負金額の設定は、請負業者の実力(=生産水準)をもとに決定されているからです。
つまり、支払い条件が変わらないからと言って、今の水準から改善されない状態では、発注側はいつまでもコストを下げることが出来ないことになります。
市場環境が大きく変化しやすい現代では、いつまでも同じコストで生産を行なっていたのでは、競合他社に勝つことはできません。
従って、請負業者も継続的な改善活動を行なうことにより、請負金額を下げる取組みが必要不可欠なのです。
とは言え、当然金額を下げることに対しては、請負側の反発は必須です。
頑張って改善して生産性が上がったのに、その分金額を下げられてしまったのでは、ただ大変になるだけなので前向きに取り組めない、という主張も分からなくはありません。
さて、このような状況の場合、どのような方向性でうまく巻き込んで進めていけばよいでしょうか?
某印刷会社で行った納得感のある条件設定
とある印刷会社では、請負業者に納得してもらい改善活動を進めるために、次のような条件設定を行ないました。
まず、現在の設定金額に対して、1年後に10%、2年後に20%というような改善目標の設定を行ないます。
そして、実際に改善された分の50%の設定金額を下げ、残りの50%は請負業者であるパートナー会社の取り分としました。
この50%は、パートナー会社の運営資金として活用可とし、従業員の待遇の改善や新規雇用へ回せる資源として認めるような形を取っています。
この印刷会社では、改善活動のスタート時にこのような「成果の扱い方」に関する考えを明確に宣言して進めたことにより、パートナー会社も納得感を持ち活動を進めることができました。
継続的にコストを下げる仕組みがなければ、いずれ競争力が落ちてしまい、発注側も請負側も厳しい状況に陥ってしまうことはどんな会社でも十分に予想されます。
競合に勝つという意識をパートナー会社と共有し、うまく巻き込んで改善活動を活性化することができた良い事例ですね!
この改善事例があなたの今後の活動に役立つことを心から願っています。
この事例を参考に、あなたの職場でも改善を行ないましょう。
それではまた、次の改善事例でお会いしましょう!
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