5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の定義や効果、取り組みのポイントを解説
目次
5Sとは?5S活動とは?
5Sとは?
5Sとは、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketsu)、躾(Shitsuke)をローマ字読みした際の頭文字の「S」を取ったものです。躾は、「習慣化(Shukanka)」と表すこともあります。仕事を行う上で、モノや情報を常に取り扱い易い状態にするための取り組みのことで、職場環境の維持・改善を目的として用いられるキーワードです。
ちなみに、整理、整頓、清掃、清潔、躾を英語で表すと、下記のようになります。全て「S」から始まるため、英語でも5Sと呼びます。たまたま一緒になったというよりも、英語でも5Sとなるように単語が選定されたと言った方が正しいかもしれません。ここではまずは、「5S」というキーワードは、日本だけではなく、世界でも共通用語として使われていると覚えておきましょう。
英語でも5S
整理(Seiri)・・・Sorting
整頓(Seiton)・・・Setting-in-order
清掃(Seisou)・・・Shining
清潔(Seiketsu)・・・Standardizing
躾(Shitsuke)・・・Sustaining
仕事の効率を上げるための5S活動
企業において、モノや情報を利用する際には、必要なものがどこにあるのかが、誰でも一目で分かるようになっていることが大切です。必要なものがすぐに見つからないと、仕事の効率が悪化します。また、間違いやミスが増えてしまうことで、品質においても安全においてもリスクがある状態になってしまいます。
そのため、多くの企業では、5S活動という名のもとに、職場のモノや情報を適切な状態に維持する取り組みを行っています。5Sレベルが高い職場は、働きやすく、かつ仕事の効率が良いと言われています。
以降では、仕事の効率を向上させる「5S」について、その定義やポイントについて解説していきます。
5Sの定義
それではまずは、それぞれの一般的な定義を説明していきます。
整理(Seiri)とは?
整理とは、必要な物と不要な物を明確に区分し、不要な物を捨てることです。「1Sする」というのは、一般的に、「整理をする」という意味で使います。
整理(Seiri)のポイント ~① 不要なモノの区分~
整理のポイントの1つ目は、不要なモノの区分が明確になっていることです。
「必要なモノと不要なモノの区分が明確になっているか。」
「いつかはどれも必要になるものと思って、とりあえず保管することが常態化していないか。」
といった視点で整理を進めていきましょう。
「いつか使えるかもしれない」のも分かりますが、それを言い訳に整理が進まない職場になってはいけません。
「迷ったら自分がお金を払ってでもほしいと思わないモノは捨てる」ことが原則です。
判断を先送りにしないように心掛けていきましょう。
整理(Seiri)のポイント ~② 赤札(あかふだ)~
整理におけるポイントの2つ目は、赤札です。
赤札とは、5S活動において、主に整理を行なう際に用いられる「不要品に貼る付ける札」のことです。材料、部品、機械、設備、治工具に加え、資料、文書等、あらゆる業務に関わる「不要品」が一目で分かるように「赤札」を貼り、赤札が貼られた物は速やかに処分していきます。
赤札を使った「整理」活動を継続的に行なうことにより、必要なものだけが職場にある状態を維持していくことが狙いです。
整頓(Seiton)とは?
整頓とは、必要なモノを、必要な時に、誰でも使えるようにすることです。「2Sする」というのは、一般的に、「整理整頓をする」という意味で使います。
整頓が進んでいない職場でよく出てくるNG発言があります。それは、
- 自分はどこに何があるか把握しているから、これ以上の整頓は不要だという発言。
- 作業者によって必要なモノが異なるので、整頓なんて出来ないという発言。
- この散らかっている状態は一時的なものだから、問題ないという発言。
これらは、単なる言い訳にしか過ぎません。整頓を進める上では、「新人でも誰でも探さず・迷わず使えるような状態をつくる」ことを目指さなければなりません。
整頓(Seiton)のポイント ~2S3定/3定管理~
整頓を進める上でポイントになるのが「2S3定/3定管理」です。
2S3定/3定管理とは、「何が」を表す定品、「どこに」を表す定位、「いくつ」を表す定量の“3つの定”を取った管理方法のことです。2S3定/3定管理は、5S活動の中で最重要の取り組みの1つです。
モノの置き場は、3定がしっかりとあってはじめて「異常状態に気付く」ことが可能になります。5S活動と言ったら「2S3定」と言われるほど重要なポイントです。確実に覚えるようにしましょう。
2S3定/3定管理に関して、詳しくは、下記のページで解説していますので、ご存知ない方はご一読ください。
[reg-bnr]2S3定(にえすさんてい)/3定管理・三定管理(さんていかんり)とは あなたの会社、職場では、5S活動を行なっていますか?5S活動では、どんな取り組みに力を入れていますか? 5S活動においては、赤札作戦や一斉清...
清掃(Seisou)とは?
清掃とは、整理整頓された職場をキレイに維持し、点検により異常に気付くことです。「3Sする」というのは、一般的に、「整理整頓に加え、清掃まで行なう」という意味で使います。
徹底的な清掃を継続的に行なうことで、設備や職場環境等の異常箇所の発見に繋がります。
清掃(Seisou)のポイント ~清掃は点検なり~
掃除と清掃は異なりますが、何が違うか説明できますか?
それは、掃除とは、掃き汚れを取り除くという動作であるのに対し、清掃とは、掃き清めることをいいます。つまり、ただ形だけの意味のない掃除、隅々までやり遂げるという意志のない掃除は清掃とは言えません。
よくある悪い事例としては、掃き掃除がしやすい箇所だけを掃除し、掃除がしにくい所、既に埃が堆積している所は見て見ぬふりというケースです。「職場をキレイにする」という意思をしっかりと持ち掃除をすることで、初めて清掃になるのです。
そして、徹底的な清掃を継続的に行なうことで、設備や職場環境等の 異常箇所の発見に繋がっていきます。これが本来の清掃の目的であり、「清掃は点検なり」と言われる所以です。
清掃と点検を組み合わせた「清掃点検表」は、このスライドのようなもので表されます。Excelデータが下記のページからダウンロードできますので、是非ご活用ください。
清潔(Seiketsu)とは?
清潔とは、3Sが維持管理できる仕組みをつくり、職場を正常状態に保つことです。
「維持管理」という部分がポイントです。
「4Sする」というのは、一般的に、「3Sをただ行なうだけでなく、仕組みづくりまで行なう」という意味で使います。
清潔(Seiketsu)のポイント ~原因を深掘りして予防~
清潔の秘訣は2つあります。
1つは「要らない物が出ない、乱れない、汚れない」ように原因を深掘りすることです。このためには、予防整理、予防整頓、予防清掃を行っていかなければなりません。
もう1つは、5Sレベルを客観的に評価できる仕組みをつくることです。
そのためには、下記の取り組み等をおこなっていく必要があります。
- 5S委員会の設置
- 5S統一基準の作成
- 5Sチェックリスト作成とパトロール実施
- 5Sレベルの見える化
躾(Shitsuke)とは?
躾とは、ルールを守り、自主自律的に5Sを推進できる人材を育成することです。
「自主自律」という部分がポイントです。
「5Sする」というのは、「5Sに関わることを行なう。」「4Sに加えて躾まで行なう。」という意味で使います。
躾(Shitsuke)のポイント ~結局は“人”~
整理・整頓・清掃・清潔を実現するのも、維持するのも、壊すのも、結局は“人”です。
つまり、5Sは躾に始まり躾に終わると言っても過言ではありません。どんなに良い方法を採用しても、それを実行する人たちが納得せずに進めていたのでは、すぐに元に戻ってしまいます。
後戻りを防止し、5Sを定着化し、活性化させていくためには、次の取り組みが必要となります。
- 躾の基本である 叱ることを正しく理解すること。
- 5Sスローガンを決めて、社員への意識付けを行なうこと。
- 5S新聞、ポスター等を活用して意識付けを行なうこと。
- 5S月間、5Sの日を設定して全員で取り組むこと。
- 5S教育の実施・意識付けを日頃から行なうこと。
- 5S発表会等の交流の場を設け事例を共有すること。
- 管理者が意識すべきこと。
これらのことを地道に愚直に徹底的に行なっていくことで、本物の5S活動になり、定着化、活性化へ向かっていきます。
以上の5Sの定義から分かるように、5S活動は単なる職場の美化活動ではありません。キレイにするだけでなく、仕組みづくりや人材育成まで含めた活動となります。
自社流の5Sの定義を設定している事例
定義は自分達の言葉で
5Sの定義は、本に載っているものをそのまま使うのではなく、“自社流にアレンジ”し、会社、職場の想いを吹き込むことがおススメです。
例えば、ある食品会社では、5Sの定義を次のようにアレンジしています。
清掃は、「清掃、洗浄、殺菌により職場の微生物が基準以下の状態を維持すること」と定義し、
清潔は、「3Sが維持出来る仕組みをつくり、微生物レベルで職場をキレイに保つこと」と定義しました。
これは、「自分達の工場では、食品を扱っている」という意識を強く持つことを狙いとし、微生物という圧倒的なレベルでキレイな職場にしようという想いが込められています。
組立工場における定義の事例
もう1つ、ある組立工場における定義の事例を紹介します。
この会社では、5S活動を発展させ、7S活動として取り組んでおり、大きな成果を上げています。それぞれの定義について説明します。
整理 「何が不要か誰でもすぐに判断できる職場をつくる。」
これは、不要と判断できないから不要物が溜まってしまう、という風習を打破したい、という想いが込められています。
整頓 「新人でも研修生でも迷わず働ける職場をつくる。」
この会社では、外国人研修生も多数在籍しており、日本語が十分に分からない人でも、迷わず作業ができるようにしたい、という想いが込められています。
清掃 「こまめな清掃で異常がすぐに気付く職場をつくる。」
これは、異常は現場の作業者が率先して見つける意識を高めたい、という想いが込められています。
清潔 「徹底的な仕組み化により、乱れない・汚れない職場をつくる。」
これは、なぜ乱れたり、汚れたりしてしまうのか、深掘りをする意識を高めてほしい、という想いが込められています。
躾 「社員全員が7Sを理解し説明できる職場をつくる。」
これは、一部社員だけでなく、全員が同じ目線で7Sに関する会話ができるように、という想いが込められています。
安全(セーフティー) 「ヒヤリハットが一切発生しない職場をつくる。」
これは、5S状態は安全にも直結することを意識させるために、追加した定義です。
笑顔(スマイル) 「苦しい時こそ笑顔で改善を進める職場風土をつくる。」
これは、職場の雰囲気が明るくなるように笑顔を意識して欲しい、という想いが込められています。
本気で5S活動を行なっている会社では、定義1つを取っても、しっかりと自分達の想いが入っています。あなたの会社・職場では定義は決まっていますか?トップを初め、自分達の想いが込められたものになっていますか?
5Sの対象になるもの
5Sの対象になるものは何か、4Mと1Iの視点で確認していきましょう。
4Mと1Iの視点
4Mとは、人(Man)、モノ(Material)、設備(Machine)、作業方法(Method)の視点のことです。
- 人(Man)・・・「挨拶の習慣付け」「ルール遵守の習慣付け」「5Sに対する意識付け」等が対象になります。
- モノ(Material)・・・「備品、治工具、台車」「製品、仕掛品、原材料」等が対象になります。
- 設備(Machine)・・・「機械、設備、運搬車両」「パソコン、電話機」等が対象になります。
- 作業方法(Method)・・・「各作業の手順書、処理業務の方法」「行っている業務自体」「ルール、判定基準」等が対象になります。
ここで覚えておきたいポイントとしては、5Sはモノや設備だけでなく、習慣付け等の人に関することや、その業務自体、手順・判定基準などの作業方法に関することも対象になるということです。
また、情報(Information)の視点からも、「パソコン内のデータ」「稼働データ、顧客情報」「記録表」等も5Sの対象になります。
もうお分かりだと思いますが、5Sは会社で行なう全ての仕事に関係していることになります。つまり、5S活動は現場だけの活動ではなく、間接部門や営業部門等、会社のあらゆる部門で取り組みを行わなければいけないものになります。
5S活動の目的とは?
儲け続ける強い会社の共通点、5Sが定着している職場の特徴、5S活動の本質は何かについて解説していきます。
儲け続ける強い会社の共通点が5S力
工場の利益と製造基礎力
まずは、「儲け続ける強い会社の共通点」について説明します。
「儲け続ける強い会社」、つまり「ムダの少ない会社」には、必ずと言っていい程、ある共通点があります。それは、「管理のベースに5Sがしっかりと定着している。」ということです。
スライドの真ん中のピラミッドを見てみましょう。企業は次のような順番で会社の利益に繋がっていきます。
まず、作業手順や業務の決め事等、守るべきルールが明確になっていること。
そして、守るべきルールを守る習慣が出来ていること。
そして、新人でも誰でも 同じように仕事をすることが出来ること。
そして、ムダが無く、常に改善が進んでいること。
そのことにより、達成感のある職場であること。
これらのことが、会社の利益に繋がっていきます。この中で、特に土台の部分は、5Sをはじめとする「製造基礎力」です。この土台がどのくらいしっかりとしているかで、企業の利益の大きさが、変化すると言っても過言ではありません。
儲け続ける強い会社へ
なお、5S活動では、ムダやロス、ミスが削減されていくプロセスを通じ、社員に信頼感・達成感が共有され、良き企業風土の醸成が期待できます。今一度、5Sへの意識改革により「儲け続ける強い会社」への変革を目指していきましょう!
5Sが定着している職場の特徴
簡易版5S定着度チェック項目
では、次に、「5Sが定着している職場の特徴」について説明します。
それでは、5Sが定着している会社には、どのような特徴があるのか、簡易版の5S定着度チェック項目を使い、確認していきましょう。あなたの職場では、何個当てはまるか、考えてみてください。
① モノの状態、計画や進捗が誰でも一目で分かる。
② 職場の清掃が行き届き清潔感がある。
③ 社員が5Sを守れる仕組みがある。
④ 社員に活気があり、明るい。
⑤ 5Sの定義を全社員が説明できる。
⑥ 定期的に5Sのイベントを行なっている。
いかがでしょうか。あなたの職場では、どのくらい特徴が当てはまっていましたか?1個でもバツが出たら、要注意。今すぐ5Sへの意識改革が必要です。
5S活動の本質とは
形式的な活動にしてはいけません
5S活動において注意したいことは、活動を形式的なものにせず、本質的な活動にしていかなければいけない、ということです。言うまでもなく、ただの形式上の5S活動では、ムダも無くならず、会社の利益に繋がることもありません。
5S活動がうまくいっていない職場では、次のような言い訳が沢山出てきます。
- 5Sは収益改善に結びつかないから、怒られないくらいにやっておけばいいや。
- 5Sをやると余計な時間が発生するから、忙しい時は業務を優先しよう。
- 物の置き場は自分が理解していれば十分。これ以上管理をする必要はない。
これらの発言は、完全に間違いです。
これらのような発言が出てくる職場では、社員は5S活動を形式上のもの、あるいは、やらされている活動と認識している可能性があります。
あくまでも5S活動の本質は、社員の“考え方”や“行動の質”を変え、それによりモノ・設備・業務進捗・情報等の管理レベルの基礎を向上させることで、社員がイキイキと仕事ができ、それが会社収益の向上に繋がる事です。
5Sは業務の一部
5Sは業務の一部です。「忙しいから業務を優先する」、という発想自体がナンセンスであることを、しっかりと認識するようにしましょう。そして、全員参加で儲ける5Sを推進していきたいですね!
5Sの効果について
5Sの効果として当てはまるものはどれ?
5Sはなぜ必要なのでしょうか?自信を持って答えられますか?
次の問いを考えてみましょう。①~⑤の中で、5Sの効果として当てはまるものはどれでしょうか。当てはまるものを全て選んでください。
① 5Sが徹底された職場は、災害が少ない
② 5Sが徹底された職場は、生産性が高く、ロスが少ない
③ 5Sが行き届いた職場は、クレームが少ない
④ 5Sが徹底された職場は、社員のまとまりがある
⑤ 5Sが行き届いた職場は、社員の充実度が高い
5秒間考えてください。
正解は、全て「当てはまる」でした。意外でしたか?予想通りでしたか?
以降では、5Sと安全、品質、生産性が、どのように関係しているのかについて重点的に説明していきます。
5S不足により発生する各種のムダ
5S不足とムダ
5S不足により、次のようなムダが発生してきます。それは、探すムダ、運搬・移動のムダ、手待ちのムダ、在庫のムダ、仕事自体のムダ、不良・ミスのムダ、聞く・聞かれるムダ、等です。
これらのムダは整理、整頓、清掃、清潔、躾のどれが不足しても発生してきます。
例えば、整理が不足すると、探すムダが発生するのは当然ですが、どこにあるのかを聞いたり聞かれたりするムダが発生します。また、管理の仕組みが出来ていない等の清潔不足では、本来不要な作業をやっているというような、仕事自体のムダが発生します。
このように、5S不足により、あらゆるムダに直結するのです。そして、これらのムダを徹底的に排除することにより、コスト低減、生産性向上、不良低減、故障低減、安全性・安心向上、意欲向上、顧客評価向上、次世代人材育成に繋がっていくのです。
5Sと安全の関係
安全の土台は5S
また、あなたもお分かりのように、5S不足は、事故や災害に直結します。
例えば、
- 油漏れや水漏れにより、滑って怪我をすることに繋がってしまいます。
- 切粉や粉塵が飛散することで、目に入って災害になることがあります。
- 素手で触れてはいけない物がすぐそばに置いてあることで、火傷・怪我に繋がります。
- 清掃し難い設備の中を清掃することで、角に頭をぶつけて怪我をしてしまうかもしれません。
- 火気がある場所で油漏れが発生することで、工場火災のリスクが生まれます。
- 粉塵や油煙により、環境汚染・公害に繋がります。
このように、5S不足の状態は、事故、災害のリスクを持っているのと同じことなのです。そして、5Sを徹底して進めている職場では、あえて安全注意と言わなくとも、怪我や災害が減っていく傾向にあります。
つまり、安全の土台は5Sの徹底なのです。
5Sと品質の関係
5S不足が大問題に
安全と同様に、品質も5Sと密接な関係があります。
例えば、
- 電子・精密機器部品では、ゴミ・埃・髪の毛等が製品不良の元になります。
- 食品業界では、ゴミ・埃・髪の毛が顧客クレームに直結します。また、1つのルール違反が会社を揺るがす大問題に発展することがあります。
- 加工工程では、切粉やバリ等により加工精度を落とすことに繋がります。
- 組立工程では、落下部品の拾い込みや、異種部品組立、誤品出荷等が発生します。
このように、決めたことを決めた通りに実施しなかった等、5Sを疎かにしたことで発生した不良・損失は、過去に数えきれません。
5S不足が大問題に
たかが5Sと思ってしまい、ルールを疎かにしたことで、会社自体が傾いた事例は枚挙に暇がありません。あなたの会社ではこのような大問題が発生するリスクが潜んでいないか、日々意識して職場を観察するようにしていきましょう。
5Sと生産性の関係
工具探しで試してみよう
次に、5Sと生産性の関係について説明します。当然のことながら、5Sは生産性・効率にも直結します。
ではここで、整理整頓の徹底で本当にロスが少なくなり、効率が上がるのか、工具探しを題材に試してみましょう。
次のスライドで、一番小さいスパナを探してください。何秒くらい掛かるでしょうか?
恐らく、この2つのうちどちらかを選んだと思います。どちらが正解でしょうか?
正解は、左側にあったスパナでした。正解出来ましたか?もし、間違って工具を取り出してしまったら、探す時間に加えて、更にロスが発生してしまいますね。
さて、あなたは探すのに何秒掛かったでしょうか。今回の場合、平均すると、10秒くらいの時間が掛かっている方が多いと思います。
では、スパナ探しの年間コストを計算してみましょう。計算の前提条件として、
「1日10回スパナを使用する」
「職場内で10名がスパナを使用する」
「1時間あたりの労務費2000円、年間200日の稼働日」
と仮定します。では、10秒間で計算してみてください。計算できましたか?正解は、このような計算式になり、11万円強となりました。
では次に、整理整頓された状態では、どのくらい探す時間が短縮されるか、確認してみましょう。
先程と同じように、一番小さいスパナを探してみてください。と言っても、カウントを数えるまでもなく、もう見つかりましたよね?
先程と比べていかがでしたか?恐らく1秒あれば探すことが出来たと思います。
同じようにコストを計算すると、このように、1万1千円強となりました。
以上の計算から、整理整頓前後の差額を計算すると、10万円もの金額になりました。いかがですか?この金額は多いと思いますか?大したことはないと思いますか?恐らくほとんどの方が意外と高い金額が発生していると感じたと思います。
今回は1つの職場で10人と仮定してシミュレーションをしてみました。
1つの職場での探すロスが10万円だとしても、これがもし10個の職場で発生しているとすると、100万円になります。それを10年間で計算すると、何と1000万円ものコストが発生していることになります。たかが整理整頓と言っても、馬鹿に出来ないくらいのロスコストが発生してしまうことが分かったと思います。
このように、整理整頓は、生産性向上、コスト低減に直結するのです。あなたの職場では、どんな「探すロスコスト」が発生しているか、一度洗い出しをしてみましょう。
5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の定義や効果、取り組みのポイントのまとめ
以上で学んだことをまとめてみましょう。
5Sとは?5S活動とは?
- 5Sとは、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketsu)、躾(Shitsuke)をローマ字読みした際の頭文字の「S」を取ったもののこと
- 英語でも5S(整理:Sorting、整頓:Setting-in-order、清掃:Shining、清潔:Standardizing、躾:Sustaining)
- 多くの企業では、職場のモノや情報を適切な状態に維持する5S活動の取り組みを行ってる
- 5Sレベルが高い職場は、働きやすく、かつ仕事の効率が良い
5Sの定義とは
- 整理とは、必要な物と不要な物を明確に区分し、不要な物を捨てること
- 整頓とは、必要なモノを、必要な時に、誰でも使えるようにすること
- 清掃とは、整理整頓された職場をキレイに維持し、点検により異常に気付くこと
- 清潔とは、3Sが維持管理できる仕組みをつくり、職場を正常状態に保つこと
- 躾とは、ルールを守り、自主自律的に5Sを推進できる人材を育成すること
- 5S活動は現場だけではなく、間接部門や営業部門等、会社のあらゆる部門で取り組みを行わなければいけない
5Sの目的とは
- 儲け続ける強い会社の共通点が5S力
- 5S活動では、ムダやロス、ミスが削減されていくプロセスを通じ、社員に信頼感・達成感が共有され、良き企業風土の醸成が期待できる
- 5S活動の本質は、社員の“考え方”や“行動の質”を変え、それによりモノ・設備・業務進捗・情報等の管理レベルの基礎を向上させること
- 社員がイキイキと仕事ができ、それが会社収益の向上に繋がる5S活動を進めていくことが大切
- 「忙しいから業務を優先する」という発想自体がナンセンス。全員参加で儲ける5Sを推進していていくことが大切
5Sの効果とは
- 5Sと安全、品質、生産性は密接に関係している
- 5S不足により、探すムダ、運搬・移動のムダ、手待ちのムダ、在庫のムダ、仕事自体のムダ、不良・ミスのムダ、聞く・聞かれるムダに繋がる
- 5S不足の状態は、事故、災害のリスクを持っているのと同じ
- 決めたことを決めた通りに実施しなかった等、5Sを疎かにしたことで発生した不良・損失は、過去に数えきれない
- たかが整理整頓不足と言っても、積み重なれば馬鹿に出来ないくらいのロスコストが発生する
5Sは企業の土台と言えるもの。たかが5Sとは思わずに、仕事の一部として、しっかりと5Sを進めていくことが大切ですね。また、一部の人だけが行うのではなく、全員参加で5S活動を推進していくことが、非常に大切になりますね!
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k2-04
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2:5Sと安全・品質・ムダの関係
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- 5Sの対象とは
- 5Sは会社で行う全ての仕事に関係
- 5Sはなぜ必要?
- 5Sの効果として当てはまるものは?
- 5Sと安全の関係
- 5Sと品質の密接な関係
- 5S不足により発生する各種のムダ
- まとめ
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6:整頓のポイント① 最重要な3定管理
受講対象者
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- 3定管理とは
- 姿置きによる3定管理の例
- コンビネーションプライヤーとは
- 工具台車の姿置きの事例
- 工具掛けの姿置きの事例
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5:整理のポイント② 不要なモノを増やさない仕組み
受講対象者
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- 赤札作戦
- 赤札の参考例
- 黄札の参考例
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7:整頓のポイント② ロケーション管理とその他の仕組み
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- ロケーション管理とは
- ロケーション管理の必要条件
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- 大物置き場のロケーション管理の例
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- 資材置き場における立て看板の悪い活用事例
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- まとめ
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k2-04
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3:5Sによる効率の向上
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- 5Sによる効率の向上とは
- 整理整頓ゲームで効果を確認
- モノ探しの年間ロスコスト
- まとめ
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k2-04
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4:整理のポイント① 必要不要の基準づくり
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- 整理のポイントとは
- 整理では基準づくりが大切
- 整理(1S)のポイント
- 整理の実行サイクル
- 不用品発生内容の見える化
- まとめ