止める・呼ぶ・待つとは?現場で守るべき異常処置ルールを解説
目次
止める・呼ぶ・待つとは
現場では異常が発生した際に守るべき「止める・呼ぶ・待つ」というルールが存在します。「止める・呼ぶ・待つ」を守らなければ、不適合品が後工程に流れてしまったり、安全に作業が出来ずにケガをしてしまうリスクが発生します。
本ページでは、「止める・呼ぶ・待つ」の意味や目的について解説しています。
異常とは
それではまずは、そもそも「異常」とは何かについて確認してみましょう。
正常と異常
「異常」の反対語は「正常」です。
「正常」とは、標準作業通りの作業を継続して行なうことができ、スムーズに流れている状態のことです。
「異常」とは、いつもと違う状態、ルール通り仕事が出来ない状態、いつもと違う品物の状態等のことです。
「不良」という言葉もありますが、これは規格や基準から外れた物のことを指し、「異常」とは異なるものです。
現場では、製品の品質に影響を及ぼす、いつもと異なる現象を敏感に察知することが大切です。
代表的な4M(人、設備、材料、方法)の視点等から、異常に気付けるようになりましょう。
2種類の異常
なお、異常にも2種類あります。
1つは、管理項目として明確になっているものです。
作業標準通りに作業が出来ない時、定めた管理基準以上に不良発生した時、不良が1個以上発生した時等が該当します。例えば、教えてもらったことがその通りにできない、材料、設備が通常と違う状態である、重要不良、多量不良、連続不良が発生した時等は、異常が発生していると察知することが大切です。
もう1つは、管理項目になっていないものです。
今までに経験したことのない現象に遭遇した時等が該当します。感性(手、目、耳、鼻)により、状態の変化に気付くことが大切です。
「止める・呼ぶ・待つ」とは
それでは次に、「止める・呼ぶ・待つ」とは何か確認していきましょう。
異常発生時の基本「止める・呼ぶ・待つ」のルール
異常を発見した時にどう行動したらよいでしょうか。次の言葉を確実に覚えておきましょう。
「止める」「呼ぶ」「待つ」
「止める」というのは、作業を即時止める、作業基準通り機械を止めることを指します。
「呼ぶ」というのは、直ちに異常処置認定者やリーダーを呼ぶこと、「職制呼び出し」アンドンスイッチをONにすること等を指します。
「待つ」というのは、勝手に判断せずに、指定位置で上司の指示を待つことを指します。
この「止める、呼ぶ、待つ」は現場で働く以上、絶対に守らなければなりません。
また、「後工程はお客様」「自工程保証」という意味でも、「止める・呼ぶ・待つ」を徹底することが欠かせません。不良品の後工程流出は、多くのケースで「異常」を正しく処理できていないことに起因しています。
「止める、呼ぶ、待つ」は、現場での異常発生時の基本中の基本とも言えるキーワードになると覚えておきましょう!
「止める」際の注意事項
なお、「止める」際には注意が必要なことがあります。
例えば、「せっかく異常を発見してラインを止めたのに不具合品が流出してしまった」ということを聞いたことがありませんか。それは、ラインを正しく止めていないために起こります。
従って、「ただ止めるのではなく、正しく止める」ことが非常に大切です。正しく止めるというのは、「不具合品を流出させないように、しっかりと現状保存される状態で止める」ことを言います。
止め方は「その場停止」が基本です。複数作業者ラインの非異常発生工程では「1サイクル停止が基本となります。
「止める」ために必要なこと
以上を踏まえ、止めるために必要なこととして、
・異常を見つける感性を鍛え、わずかな異常も見逃さないこと
・正しくとめるスキルを持つこと
・そして、ラインを止める勇気と品質は私が守るという気持ちを持つこと
この3つが大切であることを覚えておきましょう。
「呼ぶ」際のポイント
「呼ぶ」際のポイントとしては、次の通りです。
・正しく把握するスキル(5W1H+αで詳細に)
・臨機応変な対応(情報を停滞させない。リーダーに伝える、不在時は課長へ)
・正しく伝える習慣(希望的観測、推測を入れない)
これらのことを守るようにしてください。
絶対に守らなければいけないこととして、イレギュラー対応時は、勝手な判断で動かず必ず直属の上司に連絡すること、得意先/他部署から、通常とは異なった依頼が来た場合もその場で回答しないこと等にも注意が必要です。
「待つ」際のポイント
「待つ」際のポイントについても確認しましょう。
異常でリーダーを呼んだ後、上司の指示があるまで作業を開始しないようにしてください。
異常でリーダーを呼び出した時、他の技能員もリーダーの指示があるまで待たなければなりません。例えば、ラインの異常が直ったとしても、上司の最終確認後の指示があるまでは勝手に作業を開始しないようにしましょう。
そして、「待つ」際には、現状の保存を確実に行なうようにしましょう。
なぜ現状保存が必要かと言うと、正しい処置をするためにはそのままの姿を検証できるようにしておく必要があるからです。状況をよく理解せずに勝手に触ると真因が分からなくなったり、処置が見当違いになってしまいます。
また、自分だけでなく、周りの人も勝手に触らないように注意が必要です。
ラインを止める流れ
それでは次に、もう一度「ラインを止める」流れについて整理・確認します。
必ずこの流れでラインを止める!
まず、異常を発見したら、必ず止めます。
この時、異常発生工程はその場停止、多人数ラインの時の非異常発生工程では、1サイクル停止です。
止めた後は、アンドンを点灯させる等により、上司やリーダーを呼びます。
呼んだ後は、指示が出るまで待ちますが、異常処置が正しく行えるように、発見時の現状保存を忘れないことが大切です。
この流れはどんな時でも必ず守るようにしましょう。
止める・呼ぶ・待つのまとめ
以上で学んだことをまとめてみましょう。
止める・呼ぶ・待つとは?止めるために必要なこととは?
- 異常とは、いつもと違う状態、ルール通り仕事が出来ない状態、いつもと違う品物の状態等のこと
- 「止める」というのは、作業を即時止める、作業基準通り機械を止めること
- 「呼ぶ」というのは、直ちに異常処置認定者やリーダーを呼ぶこと、「職制呼び出し」アンドンスイッチをONにすること
- 「待つ」というのは、勝手に判断せずに、指定位置で上司の指示を待つこと
- 止めるために必要なことは、異常を見つける感性を鍛え、わずかな異常も見逃さないこと。そして、正しくとめるスキルを持ち、ラインを止める勇気と品質は私が守るという気持ちを持って対応することが大切
いかがでしたか?止める・呼ぶ・待つの目的や意味はイメージできましたか?
「後工程はお客様」「自工程保証」を達成するためにも欠かせない「止める・呼ぶ・待つ」の基本ルール。基本を徹底することが現場力向上の土台になります。日々忘れずに守っていきましょう!
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