ヒューマンエラーの発生要因とは?防止策と対応策を解説
目次
ヒューマンエラーとは
ヒューマンエラーは、錯視、錯聴、勘違い、心理的な側面等から発生するものがたくさんあります。
本ページでは、このような人間の特性をしっかりと理解し、ヒューマンエラーをゼロに近づけるためにはどうしたらよいかを解説しています。
ヒューマンエラーの定義と考え方
そもそも安全とは何か?
まず、ヒューマンエラーを定義する前に、そもそも安全とは何かを明確にしないといけません。
実は、少し意外に感じるかもしれませんが、完全な安全というものは存在しません。存在するのは、許容できるリスクレベルに対して、危険が十分に小さい状態です。
しかも、この危険の状態は、日々刻々と変動します。イメージ図で見てみましょう。
あるシステムXが許容できるリスクレベルが青の点線であると仮定しましょう。その時、危険がピンクの実線の状態で変動しているとします。
この状態は、許容できるリスクに対して危険が十分に小さい状態のため、安全な状態と言えます。
絶対的な安全は存在しない
一方で、システムYが許容できるリスクレベルがこの青の点線の場合を見てみましょう。この時は、危険が全く同じだったとしても、許容できるリスクに対しては大きい状態であり、安全ではないということになります。
このように、絶対的な安全というのは、存在しません。
システムが許容できるリスクレベルと危険状態の関係から安全レベルは決まってくるのです。
ヒューマンエラーの定義
では、ヒューマンエラーの定義です。
ヒューマンエラーとは、「システムによって決められた許容限界を超える人間行動の集合」と定義されています。ヒューマンエラーは、すべきことが決まっているときにすべきことをしない時、あるいは、すべきでないことをすることで発生します。
ヒューマンエラー撲滅のためには
イメージ図で描くと、このようになります。
本来すべきことと、実際にしたことのギャップ、ミスマッチが、ヒューマンエラー、失敗、ミスとなります。また、人間の行動、例えば作業精度にもバラツキがあり、このバラツキがシステムの許容範囲を超えてしまってもヒューマンエラーとなります。
ヒューマンエラー撲滅の方策は大きく2つ
- システムの許容範囲を広げる対策を行なうこと
- 作業精度のバラツキを小さくすること
人間が持つ基本特性
人間の3つの側面
人間は、カタカナの「ヒト」、漢字の「人」、そして「人間」という、3つの側面を持っています。
カタカナの「ヒト」は、生物としてのヒトのことで強度的に大きな機能をもっていません。
漢字の「人」は、心をもった個人で、知恵や記憶力を持ち義理人情で生きる動物のことです。
そして「人間」は、本音と建前を使い分ける、社会的存在のことです。
このような人間は、ヒューマンエラーを起こす色々な特性を持っています。
人間の記憶はいい加減です。
人間は、時には省略や手抜きをします。
人間は思い込みをします。
人間は自分が見たいものだけしか見えないことがあります。
弱い特性を沢山持っている
その他にも、色々な弱い面があります。確認していきましょう。
- 人は間違えることがあります。
- 忘れることがあります。
- 思い込みをすることがあります。
- 気が付かないことがあります。
- ついウッカリがあります。
- 先を急ぐことがあります。
- 感情に走ることがあります。
- 1つしか見えないこと、1つしか考えられないことがあります。
- 不注意の瞬間があります。
- 時には横着をする時があります。
- 人の見ていない時に違反をすることがあります。
- 状況によっては、パニックになることがあります。
ヒューマンエラーを理解するためには、まずは、この人間の弱い特性をそのまま受け入れることが必要です。
そして、これらのことを十分に認識したうえでヒューマンエラーというものを考えていかない限り、いつまで経っても精神論の議論から抜け出すことは出来ません。
この文章、読めませんか?
ここで、人間の便利すぎる機能を知るために、スライドの文章を読んでみてください。
少しおかしい部分がありますが、じっくりとではなく、流し読みをしてみましょう。
いかがでしょうか?意味を理解することが出来ましたか?
正しい文章はこちら
恐らく、ほとんどの方は、ちゃんと読めて意味も理解できたと思います。
融通が利き過ぎる
このように、人間の脳には、「文字が入れ替わっていても、過去の経験や記憶から意味を理解できる」という便利な機能が備わっています。
しかし、この間違った文章の意味が理解できてしまうことは、逆に、誤った解釈をしてしまうことが、たまに発生することを意味しています。
人間は「融通が利き過ぎる」ことが、思わぬエラーを引き起こす可能性があるということもしっかりと覚えておきましょう。
ヒューマンエラーの要因と3つの防止フェーズ
ヒューマンエラーの発生要因
まずは、ヒューマンエラーの発生要因を、3つの視点から捉えていくことが必要です。
1つ目:人間工学的側面からのヒューマンエラーの発生要因
⇒状況認識、判断・決定、作業姿勢、覚醒度、記憶力、身体特性、錯視、加齢等がヒューマンエラーの発生要因になるのです。
2つ目:産業心理学的側面からのヒューマンエラーの発生要因
⇒焦り、怒り、不安、驕り、疲れ、思い込み、不慣れ、危険軽視、集団心理、注意散漫、ストレス、パニックにより発生するヒューマンエラーです。
3つ目:システム的側面からのヒューマンエラーの発生要因
⇒作業方法、作業指示、作業手順書、教育訓練、引継ぎ方法、ムリムラな計画、報連相等、日頃の業務の中の問題点から発生するヒューマンエラーです。
このように、ヒューマンエラーは様々な視点の要因から発生します。
個人を責めるだけでは対策は見えてこないのです。
ヒューマンエラーの防止対策
次に、ヒューマンエラーの防止対策のフェーズを確認していきましょう。
先程説明した人間工学的要因、産業心理学的要因、システム的要因の3つの視点から発生するヒューマンエラーへの防止対策が、フェーズ1です。発生ポテンシャルの減少対策となります。
もし、防止できずに、ヒューマンエラーが発生してしまった際には、品質事故や労働災害に繋がってしまいます。そうならないようにフェールセーフ、フールプルーフ化によって防ぐことがヒューマンエラー防止のフェーズ2です。フェールセーフの代表例はポカヨケです。
そして、もし、残念ながら品質事故や災害に繋がってしまった場合には、事件へ発展します。この時に、損害を最小限にするために行なうのが、危機管理対策、リスクマネジメントで、これがフェーズ3となります。
ヒューマンエラーはなぜ減らないのか
潜在化しているヒューマンエラー要因
要因の大部分は潜在化している
ヒューマンエラーは、様々な要因から発生します。
- 作業自体の特性
- 作業場の環境
- 作業者個人の特性
- 職場の環境
- 管理の特性
ヒューマンエラー対策を進めていく際には、これらの潜在化している複数の要因に対して、顕在化させるための深掘りをしていかなければなりません。
しかし、実際には、複数の要因を分析せずに、個人の特性のみを責めることしか出来ていない企業が沢山あるのが実情です。個人の責任だけを追及していては、いつまで経ってもヒューマンエラーは減っていきません。
ハインリッヒの法則
ここで、ハインリッヒの法則について紹介します。ハインリッヒの法則は、労働災害における経験則の1つで、1つの重大事故の背後には29の軽度な災害があり、その背景には300のヒヤリハットが存在するというものです。
さらに、ヒヤリハットにも至らない不安全行動や不安全状態は3000~10000も潜在化していると言われています。この法則は、事故・災害だけでなく、品質問題等にもよく当てはまることが実証されています。
ヒューマンエラー対策では、この潜在化された不安全行動、つまり作業精度のバラツキを顕在化させ対策するプロセスが非常に重要となります。
ヒューマンエラーが減らない企業の特徴
ヒューマンエラーが減らない会社では
ヒューマンエラーが減らない企業では、逆効果になり兼ねない対策を行なっていることが多々あります。
例えば、作業者 Aは、作業中、設備故障のアラームが発生したため、処置マニュアルの記載通り、スイッチ Yを押そうとしました。しかし、なぜか誤ってスイッチ Zを押してしまい、故障箇所が拡大してしまいました。
このような状況の時、上司や同僚として、Aさんに対してどのような反応をするでしょうか?ヒューマンエラーが減らない会社では、次のような発言が出る傾向にあります。
- ボンヤリしているからだ。緊張感が不足しているのではないか。
- ちゃんと注意していなかったからエラーをするんだ。
- エラーをするようでは半人前だ。
個人の問題にして終了!?
そして、結局最後はヒューマンエラーを個人の問題にして終了、ということになるケースが多々あるのです。こうなると、出てくる対策は、注意喚起の表示、朝礼等での通知、チェック手順の追加等、安易なものが多くなります。
先程の事例の場合は、本当はスイッチの形状や位置、手順書の書き方・見せ方に問題があったのかもしれません。
少し経つと同様の不具合が繰り返される
そして、更に最悪なのは、「やれやれ最近の若者は」と言って胡坐をかいて、「今後はチェックを徹底しろ」 「今後はしっかり注意しろ」 「今後は気をつけろ」といって作業者を怒鳴りつけて対策終了というパターンです。
このような対策では、エラーが減少するのは一時的で、少し経つと同様の不具合が繰り返されてしまいます。そして、そういう職場では、再発した時の対策もまた、「徹底します」「注意します」の精神論のみで終わってしまうことが非常に多いのが現実です。
チェックリストだけの対策・・・
もう1つヒューマンエラー対策の悪い事例を見てみましょう。
ありがちなものとして、いつも「今後、チェックを徹底します。」というような対策をやっているケースです。このような、チェックを徹底する、というような対策を繰り返していると、いつの間にかボリュームのあるチェックリストが出来上がります。
当然ですが、チェックリストだけの対策では効果が期待できません。
チェックリストというものは、設備の定期点検や非定常作業のチェックには有効なツールです。ただし、何でもチェック化するという対策を繰り返していると、ただレ点を付けるだけの意味のないものになっている可能性が高いことを十分に認識しなければいけません。
責任追及型から原因追究型へ
原因追求型
ヒューマンエラーが減らない企業では、典型的な風潮として、「何で間違うんだ!」「あいつが注意していないからミスをするんだ!」といったものばかりです。
このような、誰がエラーを犯したのかを追及し、罰則あるいはみんなの前でさらし者にして一件落着という「責任追及型」の対策はもう終わりにしましょう。これからは、職場全員で対策を考えていかなければいけません。
- 報告がしづらい職場環境だったのではないか
- 作業スピード自体に無理があったのではないか
- 集中力を奪う要因があったのではないか
- 見間違いを起こしやすい表示があったのではないか
等の視点で考えることが重要です。
あなたの職場でも、このような原因追及型を目指していきましょう。
管理者として意識すべきこと
管理者は正しく認識を!
まずは管理者は、次の「ヒューマンエラーが減らない企業の特徴」を正しく認識するようにしましょう。
- 責任追及だけで原因追究が行われていない
- 原因追究の深掘りが不十分である
- ミスを隠し、かばう風潮がある
- 対策が精神論になっている
- 対策がチェック化ばかりである
- 暗黙の約束事やルールが多い
- 組織内でエラーの記録が残されていない
- ヒューマンエラーに関する知見伝承が不十分
自分の職場がこれらの中の原因の1つでも当てはまる場合は、ヒューマンエラーが発生するリスクを持っていることになります。この講義の後、すぐにでもリスクの低減に取り組んでいきましょう。
正しい認識で、サイクルを回す
以上を踏まえ、管理者として意識してほしいことは、
- ヒューマンエラーに対する認識を 正しく持つこと
- ヒューマンエラーの要因を顕在化させるプロセスを 職場全体で共有すること
- 職場全体の問題として、三現主義で改善テーマとして取り上げること
これらを正しく認識し、サイクルを継続的に回し続けるようにしていきましょう。
人間の短所は長所でもある
なお、人間の思考と行動は、表裏一体な面を持っています。
注意が分散するという思考は、同時に多くの仕事を効率よくこなせることの裏返しです。
思い込みによって判断・行動をするということは、大局的判断が可能ということの裏返しです。
限られた情報で判断するということは、効率的な判断が可能ということの裏返しです。
行き当たりばったりの行動をするということは、状況に応じ柔軟な対応ができることの裏返しです。
このような表裏一体な面は、良い悪いということではなく、誰でもヒューマンエラーを起こす可能性があるということです。
人間の短所は長所でもあるということを、しっかりと認識しておかなければいけないのです。
ヒューマンエラーの各種要因と防止策
人間工学的要因によるヒューマンエラーと防止策
人間の情報処理モデル
人間は外からの状況を、感覚器官を通じて知覚します。感覚器官というのは、目や耳や手の感触のことです。知覚というのは、外の状況を認識するということです。
これが「状況認識の段階」です。そして、脳内では、知覚された情報を、認知、判断し、意思決定を行ないます。
認知、判断は、短期記憶や長期記憶等の その人が持つ過去の記憶を使って行います。
これが判断・決定の段階です。意思決定がされると、今度は運動制御を行ない、運動器官を通じて動作を遂行します。
これが行動の段階です。人間は外からの情報を このような流れで処理をしています。
人間の情報処理モデルの各段階において、様々な要因によりヒューマンエラーが発生します。
情報認識の段階におけるエラーの要因と防止策
状況認識の段階におけるヒューマンエラーの代表的な発生要因には次のものがあります。
- 思い込み、錯覚、先入観による誤認識
- 前後の情報による誤認識
- 差が小さいため気付かない
- 情報が多すぎて見落とす
- 注意資源がボトルネックになる
判断・決定の段階におけるエラーの要因と防止策
判断・決定の段階における主なヒューマンエラーの発生要因は次の通りです。
- 短期記憶は忘れてしまう
- 残像記憶が悪さをする
- 人はヒューリスティックな判断をしがち
- 人は時に感情で判断を誤る
- 認知的葛藤がミスを誘発する
- エラーを起こしやすい性格がある
行動の段階におけるエラーの要因と防止策
行動の段階における主なヒューマンエラーの発生要因は次の通りです。
- 加齢により運動機能が低下する
- 疲労やストレスにより運動機能が低下する
- スキーマの発動とスリップ
- ラプス(失念)の発生
- 条件判断がミスを招く
- 集中力の低下
産業心理学的要因によるヒューマンエラーと防止策
6つの分類
心理学的要因によるヒューマンエラーの分類には、大きく分けて6つの分類があります。
1つ目:焦りによるもの(焦燥ミス)
2つ目:おごりやずるさによるもの(確信ミス)
3つ目:忠実性によるもの(懸命ミス)
4つ目:疲れによるもの(方針ミス)
5つ目:恐れによるもの(不安ミス)
6つ目:不慣れによるもの(無知ミス)
コミュニケーションエラーの発生と防止策
仕事は自分1人だけでするものではありません。それ故、チームや職場全体でのコミュニケーションエラーにも注意を払っていかなければなりません。コミュニケーションエラーというのは、
- お互いの意思疎通の不足
- 「言われたことだけをしていればよい」という、相手に対する関心の薄さ
等から発生します。また、
- 本来共有すべき情報を共有していない
- 相手に情報を伝えていない
- 情報をうまく伝えられない
といったことからも発生します。そして、
- 職場でのお互いの不信頼
- 過当な競争
- 過信頼、過遠慮
からも発生するのです。
このようなコミュニケーションエラーを防止していくためには、「お客様の利益の為」という共通の認識の元に、積極的にコミュニケーションをとる職場風土づくりが必要です。
そして、そのためには、トップ、管理監督者が果たす役割が大きいのです。
コミュニケーションエラーの4つの種類
では、コミュニケーションエラーについて確認してみましょう。
1つ目は、正確に伝わっていない。
2つ目は、正確に伝えていない。
3つ目は、分からないことを聞けない。
4つ目は、伝え方・教え方に問題がある。
システム的要因によるヒューマンエラーと防止策
組織風土とヒューマンエラー
初めに、組織風土とは何か確認しましょう。
- 組織風土とは、組織の文化のことを言います。
- 組織は習慣を生み、習慣によって支えられています。
- 組織は、習慣的な価値判断の傾向を生みます。
- 組織風土は、経営者の言動、事業の状況、責任・権限の与え方、人事評価項目、教育方法により変化します。
組織風土は、会社によって様々です。それぞれの組織風土が良い、悪いということはありません。
ただし、習慣となっている部分が不祥事やエラー多発の原因になっていることがあるのです。特に、属人風土はヒューマンエラーを引き起こしやすいので要注意です。
属人風土から脱却するための3つの心得
このような属人風土から脱却するための3つの心得を押さえておきましょう。
1つ目:リーダーは提出された意見に対して、異論や疑問を出すことをメンバーに奨励し、メンバーからの批判を受け入れること。
2つ目:リーダーは最初はむしろ中立的な立場を取り、メンバーが自分の意見を述べた後で自分の立場を述べること。
3つ目:大勢の意見にあえて反対意見を述べることを役割とするメンバーを、集団内に少なくとも1人は入れておくこと。
この3つを意識した組織づくりを行なうことで、極端な属人風土には陥ることはありません。是非参考にしてみてください。
マニュアル・手順の不備とヒューマンエラー
マニュアル・手順の要因によるヒューマンエラーには、大きく3つあります。
1つ目は、チェック項目が多過ぎること。
2つ目は、マニュアルの形骸化。
3つ目は、手順を勝手に変更すること。
ヒューマンエラーに関連する用語
ストループ効果(すとるーぷこうか)とは
ストループ効果とは、文字の意味と文字色のように、同時に目にするふたつの情報が干渉しあう現象のことです。
例えば、スライドの上に示す文字を、声を出して左から順番に読んでみてください。
では今度は、スライドの下に示す文字を、声を出して左から順番に読んでみてください。
いかがでしたでしょうか?後に読んだ文字のほうが時間が掛かったのではありませんか?これがストループ効果なのです。
人間は、たとえ読むことが目的でも、無意識にそれが何色であるかを認識しています。「文字としての色」と「色彩で認識する色」が干渉し、読むのに時間を要してしまうのです。
ストループ効果等、現場作業を阻害する要因を取り除いていくことで、ヒューマンエラーは低減していきます。あなたの職場でも、このような情報の干渉が自職場では存在していないか、一度チェックしてみましょう。
ヒューリスティックとは
ヒューリスティックとは、物事をざっくりと直感的につかむ人間の基本特性のことです。
人間の情報処理モデルによると、人間は「情報を判断して意思決定する」というプロセスを繰り返しています。
この時、受ける情報は、沢山の複雑で曖昧なものが溢れています。そのため、完全な情報を全て得られるとは限らないのが現実です。
また、判断する際には、限られた記憶や限られた時間で行なわなければいけません。つまり、完全な情報を得るための時間も記憶も限られているのが実際なのです。
結果的に、日常生活で意思決定する際には、情報をざっくりとだけ把握し、直感で正しいと思われる判断を繰返しています。このようなヒューリスティックな判断は、時として思い込みエラーに繋がるのです。
ヒューリスティックな判断によるヒューマンエラーを防ぐために、「必要な情報は確実に出すこと」「そして、必要以上の情報を出さないこと」「更に、判断に必要な時間を確実に取れる作業の設計をすること」等が必要となります。
ヒューマンエラーの発生要因と防止策のまとめ
以上で学んだことをまとめてみましょう。
ヒューマンエラーとは?
- 安全は、許容できるリスクレベルに対して、危険が十分に小さい状態のこと
- ヒューマンエラーを無くすために、人間の弱い特性を受け入れる必要があるでしょうか?
- ヒューマンエラーは、人間工学的要因、産業心理学的要因、システム的要因の3つから発生する
- 人を責めるだけではなく、これらの3つの視点からヒューマンエラーを減らすアプローチをしていくことが非常に大切
ヒューマンエラー対策の方向性とは?
- ヒューマンエラー対策では、個人の特性以外に、作業の特性、環境特性、管理の特性等の要因も顕在化させていく必要あり
- ヒューマンエラー撲滅には、責任追及型ではなく、原因追究型への変革が必要
- 管理者はヒューマンエラー対策を、正しい認識を持ち、職場全体の課題と捉え、全員参加で回さなければいけない
- 人間工学的要因、産業心理学的要因、システム的要因のそれぞれに対して、ヒューマンエラーの防止策を考えていくことが必要
それぞれの立場で、1歩だけでも前進しようとする地道な取組みこそがヒューマンエラーを防止する近道です。
細かい問題でも決して馬鹿にせずに、全員参加で地道に愚直に徹底的に対策を進めていきましょう!
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