カイゼンベース / KAIZEN BASE

自社オリジナル教材と人材教育体系を構築【株式会社資生堂様】

資生堂様集合写真

株式会社資生堂様は、スキンケア、メイクアップ、フレグランスなどの「化粧品事業」を中心として、「レストラン事業」「教育・保育事業」などの事業を幅広く展開されている企業様です。カイゼンベース株式会社では、生産部門全工場を対象に、教育体系(キャリアラダー)構築や学習教材制作、実践課題の実施支援を行わせていただいています。

ご支援させていただいたサービス内容

取り組みの概要

株式会社資生堂様の国内工場では「生産革新」と銘打ち、大規模な人材教育の体系改革に取り組まれていました。
カイゼンベースではキャリアラダーの構築からカスタマイズ教材作成、研修実施、学習の運用に至るまでサポートをさせていただき、事務局メンバーの皆様と一緒に“資生堂流の改善教育づくり”に取り組ませていただきました。

生産革新コースの全体像の設計

改善教育として新設した、生産革新コースは、必須科目と5つの専門分野(5S,QC,IE,TPM,TPS/生産管理)に分けて体系を構築しました。
専門分野は、各工場・各社員の状況に合わせて必要なスキル習得を選択できるような柔軟な設計としています。
全体構成が固まった後は、具体的な教育内容にブレイクダウンを行っていきました。
生産革新コースの教材の制作(eラーニング)

ラダーごとのレベル感と学習内容

必須科目、専門分野はともに一律の教育内容ではなく、5段階にレベル分けを行いました。
明確に階層を分けることで、必要な人に、必要なレベルの教育を提供できるように配慮しています。
どのレベルまで学習や実践にトライするかは、各々の社員が置かれている環境や、上長指示・自分の意思で柔軟に選択できるような設計となっています。
生産革新コースの全体像の設計

オリジナルの教材制作

教材制作では、構築メンバーの皆様にはカイゼンベースの全てのeラーニング教材を学習いただき、
弊社アドバイザーと共に自社に合うもの/合わないものを1教材ずつ吟味していきました。自社に合う教材においても、表現やニュアンスの微調整を行い、現場の社員が自分事として捉えることができるような伝え方にカスタマイズしています。
また、カイゼンベースでご用意がなく不足している教材に関しては新規に制作を行い、資生堂流のオリジナル教材を目指して制作を進めていきました。
教材の修正・新規制作は、定期的な打ち合わせやTeamsのチャットツールを活用。都度内容を吟味しながら1年弱の期間を掛けて進めました。

もちろん、eラーニングによる知識学習だけではなく、ワーク型研修や問題解決8ステップのフレームワークを活用した実践研修の枠組みも合わせて設計。インプットとアウトプットを組み合わせた、効果的な教育体系を目指して構築を進めていきました。

ワークショップ型研修

ワークショップ型研修においては、まずは構築メンバーが自らチャレンジ。
自ら実践的な知識を付けることに加えて、内容を資生堂流にアレンジしながらブラッシュアップを行う形で進めていきました。
生産革新コースのワークショップ型研修

ご担当者様インタビュー

資生堂様の人材育成の方針や考え方について教えてください

――藤山氏
工場で働く人に「工場に入って良かった!」と実感してもらうことを目指しています。
・現場で使える知識/スキルの習得とその実践により、個々が成長を実感でき、
・その結果を継続的な組織成長へと繋げ、グループ全体へ貢献すること だと考えています。
そのために人材育成ができることを考え、何をすれば/できれば現場で力が発揮できるのかというアウトプットを明確化することや、求める職務レベルの明示・一人別の人材育成計画を作成し、フォローを行うことなどに取り組んできました。
また講師と現場担当者を定期的に循環させることで、現場との一体感醸成と風土を形成することにも力を入れています。
今回協力いただいたように、外部教育も積極的に取り入れることで教育/講師/プログラムがアップデートされるとともに、質的向上に繋がったと感じています。

――KB藤澤
貴社の生産革新コースの位置づけを教えていただけますか?

――吉村氏
生産革新コースができた背景としては、人材育成に関する社内アンケートから、
・教育が現場頼りになってしまっている
・生産を優先し、教育が後回しになっている
・人により教え方が異なる
・OJT と OFF-JT が連動していない
・メンバーの “目標”が設定し難い、次のステップが見えない
といった改善を求める意見があって。それに対する一つの回答
が革新コースの設立という形でした。

資生堂様インタビュー
左手前:カイゼンベース藤澤 奥側左から:吉村氏 山崎氏 藤山氏 守谷氏

――KB藤澤
生産革新コースの創設はいつ頃ですか?

――山崎氏
2019年に検討を開始しました。
ちょうど弊社の中で改善教育とは何かを再検討し、管理技術を現場改善に活用できるようにするためのキャリアラダーをご協力頂きながらつくり始めた頃ですね。そこから現場への落とし込みが始まった、というような形です。

――吉村氏
それまでは当たり前のように現場での教育に頼っていて、“いつ” “何を” “誰が” “どのように”教育するのか、または習得できるのかが不明確でした。その教育を終えると何が出来るのか、あるいは期待されるのか、どのような責任と権限を持てるのか、というのも曖昧だったんです。
ですから、キャリアラダーをつくるにあたり、各職位に対するあるべき姿を決めるところから始めました。体系立てて「このレベルの人にはここまでやってもらう」というような制度的な部分を整えるのと同時に、カリキュラムとしてそのレベルに合ったカイゼンベースの教材を当てはめていきました。現在は教育体系のレベルと教育プログラムのマトリックスを設定し、OJTとOFF-JTを融合した育成プランの策定に着手しています。組織全体として人材育成に力を入れていこうと取り組んでいるところです。

――KB藤澤
キャリアラダーのイメージはもともと明確なものがありましたか?

――山崎氏
いろいろと調べている中でブルームの6分類法を見つけて。そこできちんとしたステップを踏んで学んでいくことが重要だと知りました。
通常の業務の中では、改善の知識を段階を踏んで学んでいくというのが難しく、積極的に受検を促していた QC 検定も取得することが目的化してしまい、学んだ知識を実際に業務改善へ結びつけることに苦戦していました。段階を踏んで身に着けるというのができていなかったんです。学習して理解した上でどうするか、分析して自分で考えどうカイゼンに結び付けるか。そういった段階を踏んで学習できる仕組みをイメージしていました。また、SPS(資生堂生産方式)という教育も含めた、改善に取り組む活動もありましたが、工場によって活動に差が出ていて、風化してしまっている工場もありました。教育プログラムとしてどのようなラダーを作り、カリキュラムを作成し、教材を作り、勉強会を開いて終わりではなく最終的には受講者だった方自身が教えられるレベルになって、循環できる仕組みができたら良いな、と思っていました。

カイゼンベースを選んでいただいた理由を教えてください

――山崎氏
ネットで調べた時に、とにかく一番わかりやすかったのがカイゼンベースの資料だったんです。ご相談した際もすごく親身になっていただいて、もともとあるプランに当てはめるのではなく、一緒に構築していただけるところがとても魅力的でした。こちらが提示したそれぞれのレベル×人物像のラダーについて、改善案や具体的な評価方法のご提案をいただいて。実際に進めるプロジェクトメンバーが若手で構成されていることの難しさも踏まえて、具体的に受けられるサポートや対応について議論させていただけたのがすごく良かったです。

――KB藤澤
当時の経緯を詳しくお伺いしても良いですか?

――山崎氏
当時、一部の工場では中味ロス、材料ロス削減活動や、現場改善の報告・議論を行う場として、「革新会」という会がありました。その会の事務局担当となった時、ちょうど弊社の工場統一でOEEを生産性指標として評価・活用することが決まって。私自身がOEEについて知識を得て改善活動に活用する仕組みを作ることになったんです。
OEEを学ぶため、ネットで解説が分かりやすいものを探した結果、カイゼンベースのHPにたどり着きました。私がOEEの仕組みを理解する際も説明が分かりやすく、図やイラストからイメージがしやすかったので、教材を作成する際にもとても参考になりました。OEEを理解することで、一般的なOEEと、弊社のOEEとの違いが分かり、その理由も突き詰めていくと、データの定義の違いや集計方法の違いが原因であること、異なることを理解していれば、活用方法として間違えずに運用が可能なことが分かりました。
カイゼンベースのメルマガ登録をして間もなくキャリアラダー教育とeラーニングの活用についての講演会があって。そこで教材コンテンツもオリジナルで作成してもらえることを知ったというのが経緯です。

教育体系の構築を実際にやってみていかがでしたか?

――吉村氏
定期的な講座のメンテナンスを含め、作り上げた仕組みをいかに根付かせていくかというところに課題意識を持っています。マネジメント層が課題意識を持ち続けなければ風化していってしまいますので、PDCAを回しつづけなければと思っています。

――藤山氏
教育資料として統一感を持たせるためにカイゼンベースから教育資料の作り方を基本から教えていただき、誰が作ってもバラツキのない品質の資料を作成することが大変でした。キャリアラダーの構築についてはレベル別で学習内容を明確にしなければいけないので、カイゼンベースの教材がどのレベルに当てはまるのかすべての教材に目を通しました。主観で進めてはいけないので、メンバーで意見を出し合いながら協力して作っていったのですが、この整理していく作業がすごく大変でした。
きちんとしたキャリアラダーを構築するためには、求める人物像・軸をしっかり決めておかないと教材の内容がばらついてしまうので、そういったところがとても重要だと感じました。

――守谷氏
何度も教材を一から学び教育体系を作っていったので自分自身すごく勉強になりました。この知識を多くの人に定着させるためにはどうやって伝えればいいか、ということをすごく考えました。例え話や具体例を織り交ぜることで受講者さんからわかりやすいと言ってもらえた時には達成感がありました。


――KB藤澤
例え話ってすごく重要ですよね。研修の講師にとても求められる要素です。身近な例で例えると理解度がかわってきますよね。

――山崎氏
自分たちも実際に学習しながら構築していくのがとても大変でした。例え話を一つ作るのにもメンバーで「こう言った方がわかりやすい」など話し合いながら行いました。教材を作れるようになったら人に教えられる、自分の理解が深まるというのはまさしくそうだなと思いました。

これからキャリアラダーを構築する企業にアドバイスがあればお願いします

――藤山氏
学習プログラムの骨格を作る際、受講者のレベル別に学習内容を選定することに苦労しました。レベル別のターゲットから更に具体的なペルソナ分析を行い、必要な知識レベルを明確にすることで体系的に学べる学習プログラムを構築することができたと思います。
アドバイスをするとしたら、どんな人達をターゲットにするのか、まず深掘りをすることが重要だと考えています。

――KB藤澤
構築するのは本当に大変だったと思うのですが、その経験はプラスになりそうですか?

――藤山氏
そうですね。基礎知識習得レベルならこのくらい、という認識を複数人で確認し、共有認識を持てたことがとても良かったと思います。

――吉村氏
実は、私はもともと学習はレベルを明確に分けなくても良いと思っていたんです。自分で学びたいと思ったときにとことん学べる環境があるというのが大事だと思っていて。
でも今回の取り組みで改めて、レベル分けや到達度を示してあげる重要性を感じました。どこまで学べば良いかわかるというのは受講者にとって安心感がありますよね。

――山崎氏
期待と責任という考え方があるように、自分の立ち位置を自覚して、次に行くために不足しているものを振り返えるというのも、ラダーがあるからこそできると思います。
人によっては得意不得意があるので、こういった形態であれば苦手をカバーしたり得意を伸ばしたりすることもできると思います。

担当コンサルタントより一言

一言に教育体系と言っても、企業に合った様々な形があります。株式会社資生堂様においては、通常の役職毎(等級毎)ではなく、5S,QC,IE,TPM,TPS/生産管理という5つの分野に分けて教育体系(キャリアラダー)を構築していきました。また、各分野においても1つの内容を教育するだけではなく、5段階(入門的な内容からトレーナークラスまでの内容)にレベル分けを行っています。自分達に必要な分野は何か、5つの柱を決めるところから検討はスタートし、議論を重ねながら各レベルにおいて必要なインプットとアウトプットを細かく設定していきました。

株式会社資生堂様の本プロジェクトにおける一番の特徴は、実際に学習を行うメンバーが主体となって教育体系(キャリアラダー)の構築を進めた点にあります。
構築メンバーの皆さまは、初めはその分野の知識が少ない状態からスタートしたものの、eラーニングやWEBセッション等を活用し自ら学習を実施。教材もカイゼンベースが持つ既存のものを活用するのではなく、自分達でカスタマイズ/新作することで、資生堂流の教材を1つ1つ完成させていきました。資料を作る過程で知らない知識を積極的に吸収し、資料作成を通してアウトプットを行う。これによって、既にトレーナーを目指せる人材が多数育成されています。

株式会社資生堂様の場合、複数工場を横断したプロジェクト活動でしたので、工場間の知識レベルの差や文化の違いがあったものの、今回インタビューさせていただいた吉村様、山崎様、藤山様、守谷様、各工場の事務局のメンバーの皆さまが協力し合って進めていった姿が印象的でした。
これからを担う人材を育成する教育体系を構築するために、これからを担うメンバーが真剣に取り組み、ベテランの人材の皆さまがそれをサポートしていくという、とても素晴らしい文化を持った資生堂。今後現場から送り出されるたくさんの活力が、益々の発展に寄与することを確信しています。

藤澤 俊明

シニアコンサルタント
代表取締役 藤澤 俊明

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