管理職が知っておくべきヒューマンエラーの本質【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑩】

目次
ヒューマンエラーの本質
ヒューマンエラーとは、人間が行う作業や行動において誤りが生じることを指します。これは、認識や判断、記憶、行動など、人間の能力や特性に起因するものです。ストレスや疲労、注意力の欠如、知識や経験の不足などといった個人差や環境要因もヒューマンエラーを引き起こす要因となります。
ヒューマンエラーを減らすには、人間の特性を理解し、適切な対策を講じることが重要です。まずは、人間の特性について正しく理解をしましょう。
ヒューマンエラーとは
ヒューマンエラーとは何か、明確な定義を確認しておきましょう。
ヒューマンエラーとは、システムによって決められた許容限界を超える人間行動の集合です。例えば、すべきことが決まっている時にすべきことをしないあるいは、すべきでないことをするとヒューマンエラーが発生します。つまり、本来すべきことと、実際にしたことのミスマッチがヒューマンエラーです。
そのため、ヒューマンエラーを撲滅するためには
・システムの許容範囲を広げる対策を行うこと
・作業制度のバラつきを小さくすること
が必要です。不注意をなくすなどの精神論だけではヒューマンエラーはなくならないと理解しておくことが大切です。
人間の性質
人間は、カタカナの「ヒト」、漢字の「人」、そして「人間」という、3つの側面を持っています。カタカナの「ヒト」は、生物としてのヒトのことで強度的に大きな機能をもっていません。漢字の「人」は、心をもった個人で、知恵や記憶力を持ち義理人情で生きる動物のことです。そして「人間」は、本音と建前を使い分ける、社会的存在のことです。
ヒューマンエラーのhumanとは、この「人間」を指します。ヒューマンエラーは人間らしさの表れとも言い換えることができます。
そして人間は、エラーを引き起こす沢山の特性を持っています。例えば、記憶が曖昧・省略や手抜きをする・思い込みをする・自分が見たいものしか見えない等です。
ヒューマンエラーを理解するためには、まずは、この人間の弱い特性をそのまま受け入れることが必要です。
そして、これらのことを十分に認識したうえでヒューマンエラーというものを考えていかない限り、いつまで経っても精神論の議論から抜け出すことは出来ないのです。
人間の脳の機能
ここで、人間の便利すぎる機能を知るために、下の文章を読んでみてください。少しおかしい部分がありますが、じっくりとではなく、流し読みをしてみましょう。
いかがでしょうか?意味を理解することが出来ましたか?
恐らく、ほとんどの方は、ちゃんと読めて意味も理解できたと思います。正しい文章は下の文章です。
このように、人間の脳には、「文字が入れ替わっていても、過去の経験や記憶から意味を理解できる」という便利な機能が備わっているのです。
ヒューマンエラー対策
上の画像のように、間違った文章でも読めてしまうのは、日常生活ではとても便利な機能のように感じると思います。しかし、この間違った文章の意味が理解できてしまうことは、逆に、誤った解釈をしてしまうことが、たまに発生することを意味しています。
人間は「融通が利き過ぎる」ことが、思わぬエラーを引き起こす可能性があるということもしっかりと覚えておきましょう。
このように人間は、脳の特性から、情報を正しく読み取ったり、理解したりすることが難しいケースがあります。いくら集中して真面目に取り組んでいたとしてもエラーが発生することはあるのです。そうした人間の特性をきちんと理解した上で対策を講じることが大切なのです。
いかがでしたでしょうか?ヒューマンエラーの対策は、精神論に行きつきがちですが、このように人間の性質に着目してみると違った視点で捉えることができると思います。
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