間接部門でも業務改善!属人化から脱却しよう【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑧】

目次
間接部門のカイゼン活動
製造業における間接部門は、生産現場を支える重要な役割を果たしています。原材料の調達や在庫管理、人事労務など、間接部門が円滑に機能することで、生産性や品質向上に直結することは言うまでもありません。しかし、カイゼンの取り組みについては、現場部門でのカイゼン活動は実施していても、間接部門では行っていなかったり、上手く取り入れられていなかったりする企業が多いと思います。本コラムでは、製造業の間接部門での改善活動に焦点を当て、具体的な施策の進め方を紹介します。
間接業務改革の基本的な考え方
まず、間接部門の仕事のあるべき姿について考えてみましょう。本来、業務は、必要な機能を果たすために存在します。そして、その業務を処理するために人が必要となります。「業務に人が付く」という状態が、業務に取り組む上での正しい姿です。
しかし、間接業務には、表面化せずに目に見えない業務が多くあります。そのため個人レベルで業務が生まれ、業務プロセスを複雑化してしまうことがよくあります。これが、「人に仕事が付く」状況です。
「人に仕事が付く」状態になってしまうと、業務の属人化が発生し、最終的にカイゼンサイクルが機能不全に陥ってしまいます。皆さんは、自職場で「“熟練者”しかできない」「“ノウハウ”が必要な業務」「一部の人にしかできない”特殊な業務”」といったワードを耳にしたことはありませんか?
業務プロセスが複雑化すると、本来必要のない仕事を何も考えずに継続したり、担当者に依存した対応を続けてしまったりすることがよくあります。業務の属人化が進んでしまった職場では、「ノウハウが必要」「特殊な業務」といった表現がよく出てくるか思いますが、それらは本当に特殊で、熟練者にしかできない業務でしょうか?上記のようなワードが、カイゼン活動にブレーキをかける「言い訳」になってしまってはいないでしょうか?間接部門のカイゼンに取り組むためにはまず、一つひとつの業務の性質を正しく理解することが必要です。
属人化を防ぐ業務の考え方
業務の属人化を防ぐためには、業務を3つの性質に分類して考えるとわかりやすいです。3つの性質とは、「単純型」「パターン型」「高スキル型」の3つです。
① 単純型:指示通りに作業をする業務、マニュアル通りに進める業務です。
② パターン型:業務の指示・依頼が来た時にどのパターンに当てはまるか判断が必要な業務です。一度判断してしまえば作業自体は単純型と同様の進め方になります。
③ 高スキル型:単純型・パターン型以外の判断やノウハウが伴う業務です。
先ほど、「ノウハウが必要」「特殊な業務」といった表現が多い職場があるというお話をさせていただきましたが、一般的には、業務全体の80%は単純型・パターン型に属すると言われています。組織によって異なる場合もあると思いますが、カイゼン活動を進める際は、単純型・パターン型の業務が80%であるという前提で考えていく必要があります。単純型・パターン型の業務であれば、マニュアル化し徹底的に効率化していくアプローチが必要になりますし、高スキル型の業務の習得であればOJTにより長期的に習得していく必要があります。
間接業務改革のステップ
では、実際に業務改革を進めるにあたり、どのような順序で取り組みを行っていけばよいでしょうか?間接業務改革のステップとして、以下の手順を踏んでカイゼン活動を行うことが間接部門の生産性向上のためには大切です。
<業務改革の6つのステップ>
①業務の棚卸:業務機能系統図を作成し、業務を見える化する
②仕事の2S・プロセスの改善:ムダを見つける目を養い、問題解決を実践する
③仕事の標準化:簡素化された仕事の手順を標準化・マニュアル化する
④マルチスキル化:マニュアル活用による多能工化、教育により人の能力拡大を図る
⑤グループワーク化:個人業務をグループ業務として効率の良い仕事の進め方にする
⑥少人化・活人化:創出余力を人単位にまとめる
上記のステップで問題解決を実践し、業務を楽にしていったり、やらなくてよいことを決めていったりすることで、最終的には少人化をすることができるようになります。
カイゼン活動を進めることで、今ある仕事を効率化し生産性をあげるだけでなく、未来を創る仕事に人材を投入することができるようになります。
カイゼン活動は現場だけで実施される活動のように思われがちですが、間接部門でこそ大きな伸び代があるのです。
次の記事を読む
職場全体でカイゼン文化を根付かせよう【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑨】
前の記事を読む
なぜなぜ分析が苦手な人はなぜ多い?なぜなぜ分析の裏に隠れた3つの思考法【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑦】
カイゼンについて学ぶ!学習コースのご紹介
カイゼンベースの学習コースでは、カイゼンに関する具体的な内容を動画や理解度テストにより学習することが可能です。詳細の学習や実践でのご活用をご検討の方は、是非ご活用ください。
学習コース「k1-01:アニメで学ぶカイゼン活動」
トヨタ生産方式は、今や生産活動の基本中の基本と言ってよい存在です。本講座では、トヨタ生産方式の2本柱である「ジャストインタイム」や「ニンベンの付いた自働化」をはじめとした、トヨタ生産方式の基礎知識をアニメーションで分かりやすく学習します。
学習コースの詳細
Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”(7:02)
Lesson2:カイゼンは誰のため?(8:13)
Lesson3:カイゼンの2種類のアプローチ(8:53)
Lesson4:三現主義、5ゲン主義とは(7:16)
Lesson5:ものづくりの3要素「QCD」とは(10:00)
Lesson6:PDCAサイクルとは(6:25)
Lesson7:トップダウンとボトムアップ活動(8:14)
Lesson8:カイゼンマインドを育てる4つの“機会”(7:35)
「Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”」の動画はどなたでもご視聴頂けます。
「Lesson2:カイゼンは誰のため?」の動画は無料会員登録を行うことでご視聴が可能になります。
資料請求はこちらから
サービス紹介資料・価格表を無料でダウンロードできます。お気軽にお問い合わせください。
関連コラム
-
理解が深まる社内教材の作り方【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑫】
MORE -
教材制作のポイント「わかりやすい」の正体とは?【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑪】
MORE -
管理職が知っておくべきヒューマンエラーの本質【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑩】
MORE -
職場全体でカイゼン文化を根付かせよう【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑨】
MORE -
なぜなぜ分析が苦手な人はなぜ多い?なぜなぜ分析の裏に隠れた3つの思考法【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑦】
MORE -
製造業のマネジメント人材に求められるスキルとは【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑥】
MORE