カイゼンベース / KAIZEN BASE

製造業の教育の在り方~過去・現在と未来予想~【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~①】

藤澤 俊明

藤澤 俊明

代表取締役
シニアコンサルタント

トヨタ自動車の生産技術部門を経験後、製造系大手コンサルティングファームを経て2015年にカイゼンベース株式会社を設立。国内外の製造業を中心とした人材育成・改善支援に尽力中。

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カイゼンとは?カイゼン人材とは?

「カイゼン」とは、現状に満足せず、自ら問題に気づき、より良い状態へ変化し続ける取り組みのことを言います。そして「カイゼン人材」とはカイゼンマインドを持ち、自律的により良い状態を目指して改善を繰り返していく人材のことを指しています。
事業環境の変化が大きい現代、過去と同じやり方に満足していては将来を見通すことは出来ません。企業で働く1人1人が、いかに改革・カイゼンのマインドを持ち考動することが出来るのかが企業の存続を左右すると言っても過言ではありません。

製造業に必要な人材とは

グローバルな競争の激化や日々更新されるテクノロジーの最新技術、それに伴うライフスタイルや価値観の変化等、世の中では様々な物事が目まぐるしく変化しています。日本の製造業を取り囲む環境も、大きな時代の流れとVUCA時代への突入により、かつて日本がものづくり大国と呼ばれていた時代から大きく変化しています。かつて主流であった強烈なトップダウンによる統制を維持してきた企業の中には、「指示通りに動ける人材はいても、自律的に行動できる人材が育っていない」「課題解決に至る思考力を持った人材がいない」「リーダーとして動ける人がいない」と悩みをこぼされる経営者の方が多くいらっしゃいます。
2023年版ものづくり白書によると、「製造業において企業が最も重要と考える能力・スキル(正社員(50歳未満)に対して)」についてのアンケートでは、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」という回答が59.6%と最も多く、次に「職種に特有の実践的スキル」と「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」が2番目・3番目に僅差でランクインしています。製造業特有の実務スキルが必要不可欠なのはもちろんですが、それと同じくらい、課題解決のための思考力や分析力が必要とされていることが分かります。

ところが、同じく2023年版ものづくり白書の「能力開発や人材育成に関する問題点」というアンケートでは、「指導する人材が不足している」という回答が最も多く、2番目の回答も「人材育成を行う時間がない」と、人的リソースに課題を感じている回答が多くなっています。

人手不足が深刻化している一方で、ものづくり大国を支えた団塊の世代が引退し、技術やスキルの伝承が十分にできていないことが背景にあると考えられます。「チームワークや現場の専門スキル、課題解決等の思考力を育てたいと思っているが、人的リソースに課題があり上手く取り組むことができていない」というのが多くの企業の悩みであることが見て取れます。では、どうしたらこのような状況を打破することができるでしょうか。私は、その一つの回答がデジタル技術を活用しながら人材教育の実行・運用を効率化していくことだと考えています。

ハイブリッド式の教育

従来の社内の教育・研修と言えば、会議室や研修室に集まって実施をする集合型の研修が一般的でした。教育の対象が生産部門の場合には、一時的に生産ラインを止めて実施する必要性も出てくるため、教育計画に頭を悩ませてきた管理職の方も多いと思います。ところが、ITツールの浸透により「教育をオンラインで実施する」という選択肢が現れました。もちろん、すべての教育をオンラインで実施をするのは難しいと思いますが、「すべての教育・研修を対面で実施しなくてもよい」という発想は、新たな可能性を示唆していると思います。特にコロナ禍以降、集合研修をオンラインで実施したり、知識学習にeラーニングを取りいれたりする企業が増えてきています。

私は、オンライン研修やeラーニングだけで実践的なスキルの定着を目指すには限界があると考えています。なぜなら人材育成には人対人の対面での血の通ったコミュニケーションが不可欠だからです。しかし、オンラインやeラーニングに置き換えられる部分を上手にシフトしていくことで、本当に対面でしかできない実践的な教育やサポートに時間を使えるようになることは、大きな転機でもあります。基礎知識をeラーニングでインプットしてから実践研修を対面で実施する等、工夫することで教育担当者の負担を大幅に軽減することが可能となるのです。またLMS(学習管理システム)を導入し、インプット型の教育を効率化していくことも非常に有効だと思います。以下の表は、製造業における教育形態の変化と、これからの変化の予想をまとめたものになります。

オンラインとオフラインを上手く組み合わせ、ハイブリッド型の教育を運用していくことが今後の製造業の教育のカギになると思います。教育に関しても従来の慣例にとらわれず柔軟に時代に対応していくことが必要です。人材教育にもDXを少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。

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人材育成のポイント「教育のジャストインタイム」とは?カイゼンベース【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~➁】

カイゼンについて学ぶ!学習コースのご紹介

カイゼンベースの学習コースでは、カイゼンに関する具体的な内容を動画や理解度テストにより学習することが可能です。詳細の学習や実践でのご活用をご検討の方は、是非ご活用ください。

学習コース「k1-01:アニメで学ぶカイゼン活動」

トヨタ生産方式は、今や生産活動の基本中の基本と言ってよい存在です。本講座では、トヨタ生産方式の2本柱である「ジャストインタイム」や「ニンベンの付いた自働化」をはじめとした、トヨタ生産方式の基礎知識をアニメーションで分かりやすく学習します。

学習コースの詳細

Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”(7:02)
Lesson2:カイゼンは誰のため?(8:13)
Lesson3:カイゼンの2種類のアプローチ(8:53)
Lesson4:三現主義、5ゲン主義とは(7:16)
Lesson5:ものづくりの3要素「QCD」とは(10:00)
Lesson6:PDCAサイクルとは(6:25)
Lesson7:トップダウンとボトムアップ活動(8:14)
Lesson8:カイゼンマインドを育てる4つの“機会”(7:35)

「Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”」の動画はどなたでもご視聴頂けます。
「Lesson2:カイゼンは誰のため?」の動画は無料会員登録を行うことでご視聴が可能になります。

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