カイゼンベース / KAIZEN BASE

管理職が知っておくべきヒューマンエラーの本質【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑩】

藤澤 俊明

藤澤 俊明

代表取締役
シニアコンサルタント

トヨタ自動車の生産技術部門を経験後、製造系大手コンサルティングファームを経て2015年にカイゼンベース株式会社を設立。国内外の製造業を中心とした人材育成・改善支援に尽力中。

プロフィールはこちら

ヒューマンエラーの本質

ヒューマンエラーとは、人間が行う作業や行動において誤りが生じることを指します。これは、認識や判断、記憶、行動など、人間の能力や特性に起因するものです。ストレスや疲労、注意力の欠如、知識や経験の不足などといった個人差や環境要因もヒューマンエラーを引き起こす要因となります。
ヒューマンエラーを減らすには、人間の特性を理解し、適切な対策を講じることが重要です。まずは、人間の特性について正しく理解をしましょう。

ヒューマンエラーとは

ヒューマンエラーとは何か、明確な定義を確認しておきましょう。
ヒューマンエラーとは、システムによって決められた許容限界を超える人間行動の集合です。例えば、すべきことが決まっている時にすべきことをしないあるいは、すべきでないことをするとヒューマンエラーが発生します。つまり、本来すべきことと、実際にしたことのミスマッチがヒューマンエラーです。
そのため、ヒューマンエラーを撲滅するためには
・システムの許容範囲を広げる対策を行うこと
・作業制度のバラつきを小さくすること
が必要です。不注意をなくすなどの精神論だけではヒューマンエラーはなくならないと理解しておくことが大切です。

人間の性質

人間は、カタカナの「ヒト」、漢字の「人」、そして「人間」という、3つの側面を持っています。カタカナの「ヒト」は、生物としてのヒトのことで強度的に大きな機能をもっていません。漢字の「人」は、心をもった個人で、知恵や記憶力を持ち義理人情で生きる動物のことです。そして「人間」は、本音と建前を使い分ける、社会的存在のことです。
ヒューマンエラーのhumanとは、この「人間」を指します。ヒューマンエラーは人間らしさの表れとも言い換えることができます。
そして人間は、エラーを引き起こす沢山の特性を持っています。例えば、記憶が曖昧・省略や手抜きをする・思い込みをする・自分が見たいものしか見えない等です。
ヒューマンエラーを理解するためには、まずは、この人間の弱い特性をそのまま受け入れることが必要です。
そして、これらのことを十分に認識したうえでヒューマンエラーというものを考えていかない限り、いつまで経っても精神論の議論から抜け出すことは出来ないのです。

人間の脳の機能

ここで、人間の便利すぎる機能を知るために、下の文章を読んでみてください。少しおかしい部分がありますが、じっくりとではなく、流し読みをしてみましょう。

いかがでしょうか?意味を理解することが出来ましたか?
恐らく、ほとんどの方は、ちゃんと読めて意味も理解できたと思います。正しい文章は下の文章です。
このように、人間の脳には、「文字が入れ替わっていても、過去の経験や記憶から意味を理解できる」という便利な機能が備わっているのです。

ヒューマンエラー対策

上の画像のように、間違った文章でも読めてしまうのは、日常生活ではとても便利な機能のように感じると思います。しかし、この間違った文章の意味が理解できてしまうことは、逆に、誤った解釈をしてしまうことが、たまに発生することを意味しています。
人間は「融通が利き過ぎる」ことが、思わぬエラーを引き起こす可能性があるということもしっかりと覚えておきましょう。
このように人間は、脳の特性から、情報を正しく読み取ったり、理解したりすることが難しいケースがあります。いくら集中して真面目に取り組んでいたとしてもエラーが発生することはあるのです。そうした人間の特性をきちんと理解した上で対策を講じることが大切なのです。

いかがでしたでしょうか?ヒューマンエラーの対策は、精神論に行きつきがちですが、このように人間の性質に着目してみると違った視点で捉えることができると思います。

次の記事を読む
教材制作のポイント「わかりやすい」の正体とは?【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑪】

前の記事を読む
職場全体でカイゼン文化を根付かせよう【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑨】

カイゼンについて学ぶ!学習コースのご紹介

カイゼンベースの学習コースでは、カイゼンに関する具体的な内容を動画や理解度テストにより学習することが可能です。詳細の学習や実践でのご活用をご検討の方は、是非ご活用ください。

学習コース「k1-01:アニメで学ぶカイゼン活動」

トヨタ生産方式は、今や生産活動の基本中の基本と言ってよい存在です。本講座では、トヨタ生産方式の2本柱である「ジャストインタイム」や「ニンベンの付いた自働化」をはじめとした、トヨタ生産方式の基礎知識をアニメーションで分かりやすく学習します。

学習コースの詳細

Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”(7:02)
Lesson2:カイゼンは誰のため?(8:13)
Lesson3:カイゼンの2種類のアプローチ(8:53)
Lesson4:三現主義、5ゲン主義とは(7:16)
Lesson5:ものづくりの3要素「QCD」とは(10:00)
Lesson6:PDCAサイクルとは(6:25)
Lesson7:トップダウンとボトムアップ活動(8:14)
Lesson8:カイゼンマインドを育てる4つの“機会”(7:35)

「Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”」の動画はどなたでもご視聴頂けます。
「Lesson2:カイゼンは誰のため?」の動画は無料会員登録を行うことでご視聴が可能になります。

資料請求はこちらから


サービス紹介資料・価格表を無料でダウンロードできます。お気軽にお問い合わせください。

関連コラム

ページトップに戻る