職場全体でカイゼン文化を根付かせよう【ものづくりは人づくり~カイゼン人材を育てよう~⑨】

目次
結果につながるカイゼン活動
前回のコラムでは、間接部門でのカイゼン活動の進め方についてお話しさせていただきました。今回は、実際にカイゼン活動に取り組む際のポイントや注意点にいて解説させていただきます。
せっかく時間を取って取り組みを行っても、形だけの活動になってしまったり、やった気分にだけなって結果が伴わなかったりするケースも少なくないと思います。どのような点に注意したら結果の出るカイゼン活動になるか、ぜひ参考にしてみてください。
ボトムアップを重視した取り組み
カイゼン活動を行う際に、メンバーの取り組み方や関わる姿勢は大変重要です。やらされ感があったり「難しい」「大変」といったネガティブな印象が先行したりしてしまうと、良い結果を出すことはできません。ポイントは、メンバー一人ひとりがいかに「自分事」として日常の課題をとらえるか、という点です。上位の方針や方向性を組み込みことは大切ですが、ボトムアップを重視し、「自分たちで何かを変えよう」という意思を大切に活動進めることが成功のカギになります。
日常のムダ・問題を解消することは、一人ひとりの負担を減らすことにもつながります。「カイゼンを行って良かった!」という気持ちを個人レベルで持ってもらうことで、自主自立的な継続したカイゼン文化に繋がるのです。
カイゼン活動のはじめの一歩
では、カイゼン活動を新たに始める場合には、どのような点に注意したらよいでしょうか?カイゼン活動を文化として根付かせるためには、最初の取り組み方がとても大切です。
特に立上げの初期段階で注意しなければいけないこととしては、「動機づけを重視した立上げ」です。
例えば、
・なぜこのような取り組みを行うのか?
・カイゼンはなぜ必要なのか?
・カイゼンを行うことにより1人1人市場価値が上がるという意味は?
といったように、そもそも活動を行う意味を理解してもらう必要があります。目的を理解し、参加することの意義やメリットを理解してもらうことは活動の前提となります。
また、世の中で起きている変化を知ってもらったり、間接部門のカイゼンの基本ステップを学んだりする機会を提供することも大切です。ミニセミナーのような形で事前知識を身に付けてもらう研修を実施するのも有効です。
さらに、こうした活動に初めて参加する人が多い場合、専門用語を可能な限り使わずに、分からないことは丁寧に説明を行うことも重要です。分からないまま進んでしまうと、参加の意欲がだんだんと薄れていってしまいます。細かいと思われるかもしれませんが、丁寧に気を配って立ち上げを行うことで良いチームワークでカイゼン活動を行うことができるようになります。
しかし一方で、どんなに配慮をしても最初は抵抗勢力が出てくることも想定しておかなければいけません。どのような組織においても、はじめからすべての人に理解をしてもらうのは難しいものです。チーム一体となってカイゼン活動を行うためには、協力してもらうための努力・理解をしてもらう活動は必ず行いましょう。
自ら考動するための4つの機会
現場でのカイゼン活動であっても、間接部門のカイゼン活動であっても共通して大切なのが意識を変えていく、ということです。意識を変えるためには、以下の4つの機会作りが大切です。
①知覚機会
問題・異常に気が付くための機会(時間)を作ります。問題を与えるのではなく、自ら気づいてもらうことが大切です。
②共有機会
気づきを得ることができたら、問題を皆で共有し新たな気付きを得る仕組みを作ります。自分ひとりで考えるのではなく、共有することで様々な視点の気づきを得ることができます。
③行動機会
気付きで挙がった問題に対して実行する機会を確保します。自分で時間を作って取り組んでもらうのではなく、取り組みを行うための時間を確保することが大切です。
④報奨機会
活動に取り組んだ結果、成果につながった場合には、頑張りを認めてあげたり、表彰をしたりして達成感が目に見える指標を運用します。
上記4つのサイクルを回していくことで、意識改革を行うことができます。そして意識改革をしていくことでより大きな改革につなげることができるようになるのです。
いかがでしたでしょうか?カイゼン活動は製造の現場だけでなく、間接部門においても重要な取り組みです。現場も間接も考え方の基本は同じですので、ぜひ職場のカイゼン活動の参考にしてみてください。
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カイゼンについて学ぶ!学習コースのご紹介
カイゼンベースの学習コースでは、カイゼンに関する具体的な内容を動画や理解度テストにより学習することが可能です。詳細の学習や実践でのご活用をご検討の方は、是非ご活用ください。
学習コース「k1-01:アニメで学ぶカイゼン活動」
トヨタ生産方式は、今や生産活動の基本中の基本と言ってよい存在です。本講座では、トヨタ生産方式の2本柱である「ジャストインタイム」や「ニンベンの付いた自働化」をはじめとした、トヨタ生産方式の基礎知識をアニメーションで分かりやすく学習します。
学習コースの詳細
Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”(7:02)
Lesson2:カイゼンは誰のため?(8:13)
Lesson3:カイゼンの2種類のアプローチ(8:53)
Lesson4:三現主義、5ゲン主義とは(7:16)
Lesson5:ものづくりの3要素「QCD」とは(10:00)
Lesson6:PDCAサイクルとは(6:25)
Lesson7:トップダウンとボトムアップ活動(8:14)
Lesson8:カイゼンマインドを育てる4つの“機会”(7:35)
「Lesson1:世界中で取り組まれる“カイゼン”」の動画はどなたでもご視聴頂けます。
「Lesson2:カイゼンは誰のため?」の動画は無料会員登録を行うことでご視聴が可能になります。
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