小集団活動やQCサークルで活用するQCストーリーについて解説
目次
小集団活動とQCサークル活動
小集団活動は、製造業をはじめとして、様々な業種の企業において導入されているカイゼンチーム活動です。小集団活動の代表格はQCサークル活動です。
本ページでは、小集団活動・QCサークルとは何か、QCストーリーとはどのようなものなのかを解説しています。
小集団活動とは
まずは、小集団活動とは何か確認しましょう。
活動の目的に応じて様々な形態
小集団活動とは、職場内あるいは共通の目的を持った関係者が、改善チームを作り行なう活動のことを指します。
部門毎のチームやサークル、部門横断チーム等の小集団など、活動の目的に応じて様々な形態があります。
小集団活動の推進方法は次の通りです。
・5人から10人くらいの少人数のグループを編成する
・共通テーマや目標を決めて、活動を行なう
・メンバーそれぞれが役割を持つ
・定期的にミーティングを繰り返す
自主的なチーム運営が基本
小集団活動では、自主的にチーム運営を行なうことを基本とします。
そして、チーム運営により、問題解決のステップを学びながら成果を上げることで、メンバーの能力向上や自己実現を目指していきます。
更に、活動の結果として成果が創出されることで、顧客満足度の向上や、収益改善へ繋がり、経営へ貢献することまで視野に入れて行なっていくことになります。
ポイントとしては、ただ業務として問題解決を行なうだけではなく、チーム・個人としての能力向上と自己実現を目指していることです。
従って、小集団活動を支持する立場である経営層や管理職の人は、「やらされ感」のない前向きな活動が回るようにサポートしていくことが重要となります。
小集団活動はなぜ有効か
なぜ、小集団活動が有効なのでしょうか。4つ理由があります。
1つ目は、組織内コミュニケーションが活性化することです。
昨今、ITツールの発達により、顔を向き合わせて行なうコミュニケーションが減少していると言われています。
小集団活動を通して、組織のメンバーと会話をすることで、コミュニケーションが活性化するのです。
2つ目は、諦めずに最後までやり通せることです。
人は弱い生き物です。1人で行なうと、どうしても目先の仕事に追われてしまい、時間が経つと止めてしまうのです。
小集団で進めることで、1人1人が役割を持つため、責任感が湧き、次第にモチベーションが上がってくるのです。
3つ目は、役割分担することにより、スピーディーに結果を出せることです。
人と人とが協力し合うことによって1人で行なった以上の結果が得られます。
そして、役割分担することによって苦手なことを補い、得意なことを活かすことができるのです。
そして、4つ目は、個々人の気付きが促され、視野が広がることです。詳しく説明します。
ジョハリの窓
ジョハリの窓を知っていますか?議論が新たな発想を生み出すという考え方を表しています。
ジョハリの窓では、自分が知っていること、知らないこと、相手が知っていること、知らないことという4つの窓があります。
自分も相手も知っていることは、「開かれた窓」であり、当然誰もが知っていることです。
自分は知らないものの、相手が知っていることは、「気付かない窓」であり、
他人の言うことを素直に聴くと開く窓です。
そして、自分は知っているものの、相手が知らないことは、「隠された窓」であり、
知っていることを人に話すと開く窓となります。
そして、気付かない窓と隠された窓が開くことで、2人が知らなかった閉ざされた窓が開くのです。
「そう言われてみると、こんなことも考えられるのでは?」という経験はありませんか?
それが閉ざされた窓が開くということです。
小集団活動では、1人で考えていても得られない気付きを得て成長すること、これがとても大事な視点なのです。
QCサークル活動とは
次に、QCサークル活動とは何か確認しましょう。
小集団活動の代表=QCサークル活動!
小集団活動の代表は、何といってもQCサークル活動です。
QCサークル活動とは、全社的な品質管理活動の一環として、QC手法を活用して職場の管理改善を行なう活動のことを指します。
日本で誕生したQCサークル活動
このQCサークル活動は、1962年に日本で誕生した小集団活動です。普及発展のために、QCサークル本部が設置され、本部登録制度が設けられています。
はじめは製造業から始まった活動ですが、現在では製造業だけではなく、サービス業など多くの部門・業種に拡大しています。
QCストーリーとは
それでは次に、QCストーリーについて確認しましょう。
2種類のQCストーリー
QCストーリーには、2種類あります。問題解決型QCストーリーと課題達成型QCストーリーです。
問題解決型のQCストーリーは、既に発生した問題に対して、その問題の原因を見つけて解決していくアプローチです。
一番基本となるアプローチで、現場の多くの問題は、この問題解決型QCストーリーに従って取り組めば、短時間で効率よく解決できる場合が多いと言われています。問題解決そのものをストーリー通りの手順に沿って行うため、確実な成果の創出と、問題解決の考え方を身につけられるという特徴から広く知られるようになりました。
もう1つの課題達成型QCストーリーは、新規の事業への対応等、従来の問題解決ではアプローチが困難な問題を解決する為のアプローチです。
これまでのやり方では改善できないような課題が対象となり、近い将来ありたい姿に向けて改革を進めていきます。
本ページでは、基本となる「問題解決型QCストーリー」について確認を進めていきます。
QCストーリーの8ステップ
QCサークル活動では、基本となるQC手法である、「QCストーリー」をベースに活動を進めていきます。
QCストーリーは、次の8ステップです。
① テーマの選定
② 現状の把握と目標の設定
③ 活動計画の設定
④ 要因の解析
⑤ 対策の検討と実施
⑥ 効果の確認
⑦ 標準化と管理の定着
⑧ 反省と今後の対応
このストーリーに沿ってテーマを解決に向けて進めていくことに意味がある活動なのです。
QCストーリーと守破離
なぜ、QCストーリーに沿って活動を行なうことが大事なのでしょうか。
日本には、「守破離」という言葉があります。
最初の段階では、指導者の話を守ることが大事です。できるだけ多くの話を聞き、指導者の行動を見習い、指導者の価値観を自分のものにしていきます。基本的には、すべてを習得できたと感じるまでは、指導者の指導通りに行動することが大切です。
そして次に、自分に合った型をつくり既存の型を「破る」行動を行ないます。自分独自に工夫して、指導者の話になかった方法を試してみるのです。
そして最終的には、指導者のもとから離れて、自分自身で学んだ内容をさらに発展させることに繋がるのです。
分かり易く言うと、まずマネをして、次に自分のオリジナルを混ぜてみて、最後に新しいものをつくっていくということが大切という考えなのです。
守破離は、武道、スポーツ、芸術などにおいて、上達するために必要な考え方となります。
その道を極めるのであれば、まずは基本を習得することが必要不可欠です。品質管理や問題解決でも同じことが言えます。
KKD(経験・勘・度胸)では効率的に問題解決できません。
人間は思い込みや先入観を持つ生き物です。勘が外れてしまうと、かえって問題を複雑にすることにも繋がってしまいます。
問題解決のストーリーは、仕事の基本でもあります。ストーリーに沿って進められるようになり、どのような問題に対しても正しいプロセスで成果が出せる基礎力を付けていくことが必要不可欠なのです。
QCストーリーの各ステップの詳細
それではここからは、問題解決型QCストーリーの流れについて、解説をしていきたいと思います。
STEP1:テーマの選定
STEP1は、テーマの選定です。
QCストーリーのステップ1「テーマの選定」では、自分達が置かれた状況から問題点を洗い出し、取り上げるテーマを選定します。
STEP2:現状の把握と目標の設定
STEP2は、現状の把握と目標の設定です。
QCストーリーのステップ2、「現状の把握と目標の設定」では、取り上げた問題に対して、現状の事実をしっかりと把握し、目標を設定します。
STEP3:活動計画の設定
STEP3は、活動計画の設定です。
QCストーリーのステップ3、活動計画の立案では、どのように活動を進めていくか活動スケジュールを作成し、責任者や実施時期などを明確化します。
STEP4:要因の解析
STEP4は、要因の解析です。
QCストーリーのステップ4「要因の解析」は、問題を調査・解析し、発生要因を深堀りしていくステップとなります。
要因の解析の代表的な手法は、「なぜなぜ分析」です。なぜなぜ分析は下記のページで詳しく解説しています。
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STEP5:対策の検討と実施
STEP5は、対策の検討と実施です。
QCストーリーのステップ5、「対策の検討と実施」では、ステップ4で特定した真因に対して、各種改善手法や着眼点を活用し、問題の対策案を立案し実施していきます。
STEP6:効果の確認
STEP6は、効果の確認です。
QCストーリーのステップ6、「効果の確認」は、実施した対策案に対して、効果を測定し、目標の数値を達成したかを確認し、目標に達していなければ再度PDCAを回すというステップです。
STEP7:標準化と管理の定着
STEP7は、標準化と管理の定着です。
QCストーリーのステップ7、「標準化と管理の定着」では、実施した対策案を標準化し、維持できるように管理を定着させる仕掛けをつくります。
STEP8:反省と今後の対応
STEP8は、反省と今後の対応です。
QCストーリーのステップ8「反省と今後の対応」では、活動の最後に、QCサークル活動の振り返りを行ない、今後の対応の明確化を行ないます。
QCサークル活動の進め方
それでは次に、QCサークル活動の進め方について確認しましょう。
QCサークル活動の流れ
QCサークル活動の進め方はここに示している流れが基本です。
QCサークルの結成(登録)では、メンバー全員で集まり、メンバー同士でお互いを知る場を設定します。社内あるいは、必要に応じてQCサークル本部へのサークル登録もここで行ないます。
問題の共有・QC手法の学習では、職場の課題について話し合ったり、QC的なものの見方やQC手法の勉強会等を行ないます。QC手法の勉強会は、独学ではなく、社内あるいは社外の有識者に行なってもらいましょう。
QCサークル活動計画づくりでは、QCサークル活動の推進計画を作成し、達成目標や役割分担の決定を行ないます。
そして、いよいよQCストーリーによるテーマ解決活動です。QC手法に基づいて活動を推進していきましょう。
まとめと発表では、QCサークル活動の成果のまとめを行ない発表します。発表では、活動の結果を分かりやすく整理し、メンバー以外の人に自分達の頑張りを認めてもらえるように努力をします。発表会は、多くの会社で半年に1回程度行ないます。
なお、会社によっては、特に大きな成果をあげたチームに、社外での発表の機会を与えているところもあります。しっかりと準備をした上で、自信を持って成果を発表します。
以上がQCサークル活動の大まかな流れとなります。
小集団活動やQCサークルで活用するQCストーリーのまとめ
以上で学んだことをまとめてみましょう。
小集団活動とは?QCサークルとは?QCストーリーとは?
- 小集団活動とは、職場内あるいは共通の目的を持った関係者が、改善チームを作り行なう活動のこと
- 部門毎のチームやサークル、部門横断チーム等の小集団など、活動の目的に応じて様々な形態がある
- QCストーリーには、問題解決型QCストーリーと課題達成型QCストーリーの2種類がある
- 問題解決型QCストーリーは、既に発生した問題に対して、その問題の原因を見つけて解決していくアプローチ
- 課題達成型QCストーリーは、新規の事業への対応等、従来の問題解決ではアプローチが困難な問題を解決する為のアプローチ
- QCストーリーは、下記のステップのこと
① テーマの選定
② 現状の把握と目標の設定
③ 活動計画の設定
④ 要因の解析
⑤ 対策の検討と実施
⑥ 効果の確認
⑦ 標準化と管理の定着
⑧ 反省と今後の対応
いかがでしたか?QCサークルなどの小集団活動は、組織内のコミュニケーションを活性化させ、チーム力を上げるために必要な活動です。諦めずに最後までやりきるために、スピーディーに結果を出すために、小集団活動は有効な手段です。
そして何より、自分自身が成長するためにも、小集団活動に積極的に関与し、推進していくようにしたいですね!
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