生産技術とは?ニューノーマル時代の製造業に不可欠な役割を知る
生産技術職の仕事を知ろう!
どのような仕事をされていますか?と聞かれた場合、例えば「営業の仕事をしています。」や「〇〇の設計」「△△の製造をしています。」などと答えたりします。その後「それはいいですね!」「最近どうなんですか?」と話しが弾むきっかけになったりますよね。それは、その仕事がどのようなものか大まかに想像できているからです。
では、「生産技術の仕事をしています。」と答えた場合、相手の反応はどうでしょうか・・・ 「ふぅ~ん(???)」となっていませんか?生産技術という仕事のイメージが持てていないからかもしれません。
確かに、営業や人事・総務、また設計などはイメージしやすいと思われますが、生産技術はあまり聞き慣れないために「どんな仕事?」と思われることが多いようです。生産技術職は、メジャーな仕事のイメージがないんですよね。
実は、生産技術は「モノづくり文化」の強い日本において非常に重要な役割を担っているのです。
また市場ニーズや時代を先読みするなど、ダイナミックでやりがいのある仕事でもあります。今回は、生産技術とは何かを中心に、新しい時代に求められている技術、職種であることをご紹介させていただきます。
生産技術の役割とは
生産技術職の仕事内容を知っていただく前に、製造業における生産技術の役割について少しご説明しましょう。
「生産技術」とは、主にモノづくりの技術のことを指します。
言い換えれば、「絵に描いた餅」を、「本物の餅」にするための技術です。しかも、その餅は市場価値に合ったもの=「みんなが欲しい餅」にする技術でもあります。
生産技術の役割 その1
ここで言う「絵にかいた餅」とは「設計」を指しています。
そして「餅をつくる」というのが「製造」を指しています。
この両者間をうまく繋いでいく役割が「生産技術」です。
生産技術の役割 その2
先にもお伝えしましたが、生産技術のミッションは、ただの餅をつくるだけではありません。
みんなが欲しいと思う「美味しい餅」をつくらなければ、誰も買ってはくれませんよね。
たくさんの人が買ってくれる「市場価値に合った餅」にするために、生産技術は2つの技術を使って、これを実現します。
それが、『固有技術』と『管理技術』です。
生産技術って、どんな技術?
固有技術と管理技術
「固有技術」とは、原材料や機械、装置、工法などの技術を駆使して製品をつくる技術です。
先ほどの“絵に描いた餅”に例えると、“本物の餅”をつくる「手順」や「方法」「道具」を扱う技術になります。
一方「管理技術」とは、製品やサービスなど一定の水準を維持するための技術になります。
“絵に描いた餅”を“本物の餅”にすることができても、ひとつずつ味や、大きさが違ってしまうと、お客様は困ってしまいますよね。
常に安定した品質の餅を作り続けるためには、餅をつくる工程の管理が必要になり、その技術を管理技術と言います。
これらの技術を使って「生産ラインをつくる仕事」が生産技術職なのです。
モノづくり工程だけじゃない!生産技術職の3つの仕事
生産技術職には、これまでに説明した「生産ラインをつくる仕事」以外にも「要素技術開発」と「量産後の維持改善」に関わる仕事があります。
要素技術開発とは
「要素技術開発」は、新しい技術を研究開発し、従来よりも付加価値の高い製品にするために行われます。
例えば、“美味しい本物の餅”をつくるために使っていた“臼(うす)” と “杵(きね)”に変わって、より高品質で安定した量の餅をつくるために“餅つき機械”を開発するといった仕事です。近年では、生産ラインのIT化や、DX(デジタルトランスフォーメーション)により、製造そのものに変革が起こっており、より付加価値の高いモノづくり、そして環境への配慮や人口減少などの問題解決のための研究開発も進められています。
量産後の維持改善とは
「量産後の維持改善」において、生産技術が大きくかかわる役割は「改善活動」の部分になります。より良いモノを、より安く、タイムリーに製造できるように、日々改善と改良を進め、付加価値の増大を図る仕事です。代表的な改善活動は、品質向上や生産性向上、エネルギー低減などにフォーカスした活動が挙げられます。これらの努力によって、日本製品の品質や安定供給が、世界で大きく認められていることはご存じの通りです。
以上のように、生産技術職は、
「生産ラインをつくる仕事」「要素技術を開発する仕事」「量産後の維持改善を行う仕事」の3つの仕事
があることが分かると思います。
これからを担う重要な仕事、それが生産技術職
現在の製造業を取り巻く環境は、かつてない規模と速度で急激に変化しています。
環境や状況が予測困難なほど激しく変化する昨今、企業には、その変化に対応するために自己変革していく取り組みが必要不可欠になっています。その自己変革の中心となるのが生産技術力です。
中でも、IoTやAIといった「デジタル技術」を活用した品質確保や生産性向上、安定稼働などは、製造業に様々なメリットを与えます。しかし、ただ単に新しいデジタル技術を導入するというだけではく、それを企業の変革へ結び付けなければなりません。デジタル技術を活用し付加価値の高いモノづくりにつなげることを実現できた企業だけが、この厳しい環境を生き残れるはずです。
そのためには、生産技術の要素技術開発(生産技術開発)はもちろん、従来から重視されている“生産ラインづくり”も疎かにせずに両輪で強化し、迅速で柔軟な取り組みを進めていくことが欠かせません。ですから、生産技術という仕事は、今やモノづくりを牽引していく職種として位置付ける企業が増加しています。
そして、ニューノーマルと呼ばれる新しい時代においては、解決しなければならない問題が山積しています。生産技術の「生産ラインづくり」と「要素技術開発力(生産技術開発力)」への期待度は、企業内だけに留まらず、市場ニーズにおいても、地球規模でその期待度が高くなってきているのです。
これまで「何をする仕事?」と思われていた生産技術職ですが、まさに「これから」を担う重要な仕事になることは間違いないでしょう。
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