カイゼン指導は厳しくすべき？｜現場が変わる指導を行うために必要な“厳しさ”の解釈

はい、多くの会社でよく出る悩みですね。

厳しくした方が成果が出る、厳しくしすぎると辞めてしまう、といった文脈から議論されることがあると思います。ギャップを解消するために、いろいろと確認をしながら私の考えを説明したいと思います。

まず「厳しい」とはどういうことでしょうか。経営者の方が「厳しく指導して」と言う背景について考えてみましょう。

今の経営層がバリバリの現役世代だった1990年代、2000年代は、世の中全体としてカイゼンがものすごく盛んに行われていた時代です。

その頃の日本の製造業は、世界で一番生産性が高いと言われていました。その時にカイゼンの指導をしていた方は、すごく厳しかったんです。

厳しいというのは、トップダウンで「あれをやれ、これをやれ」とガンガン指示を出し、できていなければ「何でできないんだ！」と叱責をするような意味合いです。良し悪しは置いておいて、それが普通の時代だったという事実があります。

経営層の方はその時にけちょんけちょんに言われ、辛い思いもたくさんしたけれど、色々なことを学んで、それが自身の成長や現在に繋がっている――――

だから今の現場にも同じように「厳しく指導してほしい」という文脈なのだと思っています。

ここで私が考えたいのは、「厳しくした（けちょんけちょんに言われた）から、今役立っているのか」ということです。

そこには少しギャップがあると思っていて、「その時に自分のできる範囲を超えて上を目指しながら頑張った経験が、今生きている」というのが本質ではないでしょうか。

だから私はこの文脈においては、厳しくした方が良いとは思っていません。

一方で、怒鳴りながら教えるということではなく、「諦めないでやれ！」というのも厳しさの一種ですよね？

ということで、私が考える厳しさとは「甘やかすことは絶対にしない」ということであり、実際に指導する中でも決めていることです。

頑張ろうとしているけどできていない人には「優しくサポートをする」、少しの壁ですぐに諦める姿勢に対しては「厳しく前に進もうとサポートをする」ということが大事だと考えています。

「現場の方がカイゼン活動によってもっと成長してほしいと思っているけれど、なかなかついてこない…」

そんな風にお考えの経営者の方がいらっしゃれば、厳しい・優しいという言葉だけに引っ張られず、「厳しさ」を少しかみ砕いて伝えるとうまくいくのかもしれません。

絶対に諦めずに取り組むことで壁を乗り越えることができ、小さな成功体験を繰り返すことで成長する、というのは本質だと思います。

だからこそ乱暴という意味だけではなく、厳しさの種類を現代に合わせていくことが大事なような気がしています。