カイゼンベース / KAIZEN BASE

一発OKを勝ち取る社内プレゼンの技術|製造業で決裁が通る資料作成と話し方

カイゼンベース運営事務局

カイゼンベース運営事務局

メディア運営、メルマガ配信等

2015年に活動をスタートしたカイゼンベース。世界一のカイゼン情報メディアを目指し、日々コンテンツ・記事の拡充やブラッシュアップを行なっています。

プロフィールはこちら

「時間をかけて資料を作ったのに、承認されずやり直し…」、「決裁者が忙しすぎて、数分しかプレゼンの時間をもらえない…」、「端的にまとめたつもりでも、何が伝えたいのか分からない、と言われる…」。
製造業の現場では、このような悩みを抱える方が少なくありません。社内プレゼンは、単なる“報告”ではなく、決裁者から承認を得るための意思決定プロセスです。本記事では、製造業に特化した「決裁が通る社内プレゼン」の方法を解説します。明日の会議からすぐに活かせる、実践的なサンプルとテンプレートもご紹介します。

資料作成の基本|「短く・シンプル・数値」で伝える

多くの人がプレゼン資料をなんとなく作り始めてしまいがちですが、実際は決裁者(聞き手)の状況やタイプを考え、彼らが知りたい情報を明確に意識して作りこむことが重要です。その上でポイントは、「短く・シンプルに・数値で」伝えることです。

ポイント

  • KISSの法則(Keep it Short and Simple):長文は避け、体言止めで簡潔に
  • フォントとサイズ:ゴシック系を使用し、24pt以上を基本に
  • 配置の工夫:視線はZ型に流れるため、キーメッセージはグラフの上、一番言いたい結論は右下へ
  • 色の制限:3色以内に抑え、強調点だけ色をつける
  • 数値と適したグラフの活用:「削減率の推移 → 折れ線グラフ」、「コスト比較 → 横棒グラフ」、「改善前後の比率 → 円グラフ」など

基本的には根拠となる数字を、グラフや色使いで分かりやすくまとめ、端的に伝える流れになります。

グラフ3色

ストーリー設計|現場課題を経営メリットに変換する

資料を作り始める前に、ストーリーをどう組み立てるかが勝敗を分けます。
決裁者は「現場の状況」だけでなく「経営への影響(コスト・品質・納期・安全など)」まで考慮して判断します。そのため、現場の課題も経営メリットに言い換える工夫が大切です。

基本構成の流れ(テンプレート)

  • 表紙
  • サマリー
  • ブリッジスライド
  • 現状・課題などの報告:数値データで現状を説明し、課題を明示
  • ブリッジスライド
  • 対策案などの提案:A案・B案を比較し、効果とリスクを整理
  • スケジュール:実行計画を示す
  • Appendix:詳細データや補足資料

ストーリー

経営メリットへの言い換え例

  • 「ライン停止時間削減」 → 「年間稼働〇時間増」
  • 「不良率改善」 → 「クレーム□%削減、コスト△円削減」
  • 「残業削減」 → 「人件費削減+安全性向上」

聞き手設計|決裁者のタイプに合わせてアプローチ

社内プレゼンが通らない大きな理由の一つは「聞き手を想定していない」ことです。決裁者は、製造業であれば工場長・役員・経営層など役職や立場は多様で、個人のタイプによっても重視するポイントが異なります。

1プレゼン=1メッセージで目的を定める

「提案を承認してほしい」、「助言が欲しい」、「判断をしてほしい」などと一行で目的を定義して最初に伝えることで、決裁者が混乱せずプレゼンを聞くことができます。

1メッセージ

決裁者は忙しい前提を持つ

多くの場合、決裁者は年中ずっと忙しくしています。

  • 時間が限られているため、できる限り短く済ませてほしい
  • すべての業務の詳細を把握しているわけではないため、情報粒度に配慮してほしい
  • 担当者と同じ知識を持ってはいないため、必要情報を吟味して伝えてほしい

といった状況を前提として頭に入れておくべきです。

忙しい

タイプ別にアプローチする

決裁者も人によって好むコミュニケーションスタイルが異なります。ここではハーマンモデルの4タイプを参考に、重視する判断軸を把握します。

  • 論理・分析型:数値、根拠での説得が有効
  • 堅実・計画型:手順やスケジュール、管理などを重視
  • 感情・人間型:共感や協調などを強調
  • 冒険・創造型:発想や柔軟性を好み、未来志向

その他、今回のプレゼンテーマに対してどの程度ポジティブか、ネガティブかなどといった事前情報も考慮すべきです。

ハーマン

実施時の話し方と進行|冒頭30秒とクロージングで決まる

資料が完璧でも、話し方で損をしてしまうケースは多いです。基本的にはプレゼンだからと言って気負う必要はなく、普段通り冷静に話せばOKです。
ただしいくつかポイントがあり、特に重要なのは、冒頭30秒と説明の仕方、クロージングです。

オープニングはPIPの法則を意識する

目的(Purpose)、重要性・緊急性(Importance)、予告(Preview)を意識してオープニングの流れを作ると、スムーズな意思決定へと導きやすくなります。

  • 目的(Purpose):
    「本日のご報告では、〇〇に対する2つの対策案のうち、どちらで進めるか、ご判断をいただきたいと考えています」
  • 重要性・緊急性(Importance):
    「〇〇のプロジェクトは第3フェーズへの移行が4月予定ですので、実はスケジュールがかなり目前に迫っています」
  • 予告(Preview):
    「次のスライドから、まずは現状の問題点の再確認と、検討した対策案について、どのような効果とリスクがあるのかを5分ほどで説明させていただきます」

PIP

聞き手をリードする説明の仕方

  • 構成要素についての解説をする:
    「こちらのグラフ、横軸は製品の種類、縦軸は売上をとっています。」
  • 特別な意味付けを行う場合は定義を説明する:
    「円グラフは3つに色分けしています。赤色は○○を表し・・・」
  • 何を表現したいのか伝える:
    「トレンドが左下から右上に、上昇していることに注目してください。」
  • 結局何が言いたいのかを明確に伝える(So What?):
    「つまり、○○の対策が市場シェアの拡大を生んだことだと考えています。」
  • 次のスライドへの移行の言葉を述べる:
    「以上が課題が発生している原因です。それでは、次のスライドから現状の打開策について説明いたします。」

リード

エンディングを考える

  • 重要事項を要約する:
    「今回の報告では、〇〇について、今後の方向性を提案させていただきました。」
  • 自分の主張をもう一度繰り返す:
    「我々のグループとしては、案2の内容で早急に進めさせていただきたいと考えております。」
  • 今後のスケジュールを示す:
    「案2の実行により、3月末には現在の課題が全てクリアになる予定です。」
  • 自分の主張についての承認の可否を確認する:
    「ご説明差し上げた内容に関して、そのまま進めてよろしいでしょうか?」
  • 次回までにすべきことを明確にしてプレゼンを終了する:
    「ご承認ありがとうございます。それでは案2で進め、3月の会議で進捗を報告いたします。」

エンディング

質疑応答のコツ

  • 質問を最後まで聞き、まず感謝を述べる
  • 複数質問は整理して答える
  • 誰に聞かれても、決裁者に向けて答える

質疑

まとめ|製造業の現場で「通る提案」を仕組み化する

社内プレゼンは「上手に説明する場」ではなく、決裁者に行動を促す仕組みづくりです。様々なノウハウやテクニックがありご紹介もしてきましたが、重要なのは

  • 聞き手のことを中心に考え、
  • ストーリーを作りこみ、
  • シンプルかつ分かりやすくまとめ、伝える

ことに尽きます。
事前にどれだけ準備をして、練習を重ねるかという努力も大切です。社内プレゼンは、多くのビジネスパーソンが大なり小なり関わっている技術です。ぜひ習得し、決裁者の「分かりやすい!」を勝ち取りましょう。

社内プレゼンについて学ぶ!学習コースのご紹介

カイゼンベースの学習コースでは、社内プレゼンに関する具体的な内容を動画や理解度テストにより学習することが可能です。詳細の学習や実践でのご活用をご検討の方は、是非ご活用ください。

学習コースの概要「bs-08:アニメで学ぶ一発OKを勝ち取るための社内プレゼン力向上の技術」

社内プレゼンは、単なる報告ではなく「意思決定を動かす戦略行動」です。
本コースでは、社内プレゼンにおける自分の型を確立し、決裁者から一発OKをもらうためのノウハウを学びます。

学習コースの詳細

Lesson1:社内プレゼンの基本をおさえる(10分)
Lesson2:プレゼン実施の前提条件をおさえる(18分)
Lesson3:プレゼン内容を設計する(16分)
Lesson4:プレゼン資料を作成する(17分)
Lesson5:プレゼンを実施する(13分・14分)

「Lesson1:社内プレゼンの基本をおさえる」の動画はどなたでもご視聴頂けます。
「Lesson2:プレゼン実施の前提条件をおさえる」の動画は無料会員登録を行うことでご視聴が可能になります。

資料請求はこちらから


サービス紹介資料・価格表を無料でダウンロードできます。お気軽にお問い合わせください。

関連学習動画

ページトップに戻る