製造業リーダーのためのコミュニケーション実践法|部下が動かない・伝わらない悩みを解決

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目次
製造現場で成果が伸び悩むと、多くの人はまず「設備」、「人手」、「コスト」といった目に見える要素に原因を求めます。ところが現場を見てみると、それらと同じくらい、場合によってはそれ以上に成果を左右する“見えない要因”があることに気づきます。
それがリーダーのコミュニケーションです。
リーダーの言葉が曖昧なら、現場は迷い、判断が遅れ、手戻りが増えます。逆に、数十秒の明快な言葉が停滞した工程を動かし、現場全体の流れを整えます。リーダーの言葉や態度は瞬間的な“号令”ではなく、毎日吹き続ける“平均風向”としてチームに影響を与え、文化そのものを形づくります。
なぜコミュニケーションが“核心”なのか(ある製造現場での事例)
ある工場で夜勤明けに、仕掛在庫が膨れ上がる事態が続いていました。設備は正常で、人員配置にも問題はありません。原因は、日勤リーダーの「優先順位の示し方」にありました。
「Aラインが終わったらBも頼むね」という曖昧な指示では、現場は意思決定ができません。優先順位・期限・到達目標が示されないため、各自が“良かれ”と思って動き、結果として全体最適が崩れていたのです。
ここからわかるのは、リーダーのコミュニケーションには次の役割があるということです。
- 目的を示す
なぜやるのかを伝えることで行動の方向性を揃える - 流れを整える
優先順位や順序を明示してムダをなくす - 人を動かす
明快な言葉が人の背中を押し、主体的な行動を引き出す
この3つが欠けると、目的不明でやる気が落ち、流れが乱れて手戻りが増え、責任の所在も曖昧になります。コミュニケーションの設計そのものが、最もコスト効率の良い改善施策であることを、現場は教えてくれます。
二本柱で考える:業務を遂行する × 関係性をつくる
リーダーのコミュニケーションは、次の二本柱で構成されます。
- 業務遂行のためのコミュニケーション
報連相、目標設定、指示、OJT、問題解決など、成果に直結するやり取り。 - 関係性のコミュニケーション
信頼、スタイルの使い分け、心理的安全性、1on1ミーティングなど、能力を引き出す土台づくり。
この両輪が噛み合うと、情報は早まり、判断は揃い、挑戦が生まれます。どちらか一方に偏ると、効率は上がっても人が疲弊する、雰囲気は良くても結果が出ない、といったよくある課題に陥ります。
コミュニケーションを成功させる基本原則
二本柱を解説する前に、コミュニケーションの原理原則を確認します。
シンプルで分かりやすい伝え方
リーダーの言葉が曖昧だと、現場は迷い、動きが止まります。逆に、一文一意でシンプルに伝えると、誤解が減り、スピードが上がります。
「とりあえず進めて」ではなく「Bラインの刃具交換を今日16時までに完了してください」などと具体的に示すことが重要です。
アクティブリスニング(傾聴)
リーダーが一方的に話すだけでは、部下は相談や提案を避けるようになります。ここで重要なのがアクティブリスニングです。
- 相槌や要約で「聴いている姿勢」を示す
- 「事実」と「感情」を丁寧に切り分ける
- オープンクエスチョンで考えを深掘りする
心理的安全性の高いチームほど改善アイデアが出やすいことが分かっています。1on1ミーティングを10分でも定例化すれば、相談の質と量は確実に変わります。
適切なタイミングでのフィードバック
成果が出た直後、行動が見えた瞬間に短く伝える。それが成長を加速させます。
- 良い行動は即時に承認:「今の工夫、作業時間が確実に短縮できていたよ」
- 改善点も即時に具体的に:「次からは手順を確認してから進めよう。そうすれば確実に仕上がるよ」
「未来志向」で伝えることで、責められた感覚ではなく「次への学び」として受け止められます。
オープンな情報共有
情報を積極的に開示しないリーダーのもとでは、チームは萎縮します。逆に、背景・理由・優先順位をオープンに共有することで、部下は安心して自律的に動けるようになります。
【一本目の柱】業務遂行のためのコミュニケーション
一本目の柱は、業務遂行のためのコミュニケーションです。中でも、「報連相」は非常に大切です。製造現場では情報の流れが止まると、工程全体が乱れます。報告・連絡・相談を正しく回すことで、判断は速くなり、迷いも減ります。
報告
1. 結論から伝える(PREP法)
報告の目的は“意思決定を可能にすること”。まず結論(Point)を1文で言い切り、理由(Reason)→具体(Example)→再結論(Point)の順で短くまとめます。
例(現場向け):
- 結論:C製品の組立で1週間遅延の恐れがあります。
- 理由:部品Xの納入遅延が発生。
- 具体:代替手配は可・コスト+3%、納期は4日短縮可能。
- 再結論:本日中に代替発注し、来週は増員で挽回を提案します。
2. 5W2Hで事実を補う
PREPで要点を示したら、必要最小限の5W2H(When/Where/Who/What/Why/How/How many)で「判断に必要な数字と条件」を添えます。長文での説明は避けましょう。
3. 悪い報告ほど早く
不良・遅延・ヒヤリハットは時間とともに被害が増します。不確定でも「兆候」を即時正確に共有する文化を醸成しましょう。“早さ=信頼”につながります。「様子見」、「確定してから」、「定例で言う」などはいずれも手遅れの温床です。
連絡
1. 影響範囲を見極める
課題が、工程/品質/物流/安全/顧客などのどこに波及するかで対象を網羅します。関係者名簿(対象リスト)を整備しておくのも一つの手でしょう。迷ったら“多めに知らせる”が原則となります。
2. タイミングは即時
大きな課題ほど、時間がたつほどに影響も大きくなります。「定例でまとめて」では手遅れになる可能性もあります。即時連絡を徹底しましょう。
3. 到達確認まで責任を持つ
例えばメールであれば、「送った」でなく「届いた・理解した」まで確認することが重要です。重要度が高い時は口頭(or電話)+テキストで確実に伝達したり、既読や復唱でちゃんと理解できているかの確認を行います。
相談
1. 自分の考えを添える
相談は“丸投げ”ではなく自分の案付きで行いましょう。「現状・原因仮説・案A/B・判断に必要な条件」を1枚メモで持ち込むと、決定が速く質も上がります。
2. 4分割で整理する
ホワイトボードなどで課題を事実(データ・現物)と解釈(見立て)、仮説(原因候補)と次の一手(対策・行動)に分解します。整理することで感情と事実が混ざらず、短時間で合意できます。
3. 相談しやすい雰囲気をつくる
部下から相談されやすい環境を作ることもリーダーの大切な役割です。日常の声掛けや即時承認、否定しない受け止めなどによって、メンバーの心理的安全性が保たれます。
【二本目の柱】関係性をつくるコミュニケーション
二本目の柱は、関係性をつくるコミュニケーションです。安心して意見を出し合える関係性を築くことが、現場を改善するエネルギーになります。
信頼を積み上げる
- 1. 透明性:決定理由・優先のロジックを共有します。“なぜ”の開示が納得とスピードを生みます。
- 2. 傾聴:相手の話を「事実」と「感情」に分けて受け止め、要約して確認します。「理解された」という安心感が、対話が前に進めるポイントです。
- 3. 公正:ルール適用と評価基準を誰に対しても同じにすることが鉄則です。例外運用時は理由を事前に共有しなければなりません。
スタイルの使い分け
- 1. 指示型(緊急・品質安全):即断即決で具体的に指示します。迷いを残さないことがポイントです。
- 2. 支援型(育成・改善):「どうすれば再発を防げる?」といったような問いかけで気づきを引き出します。
- 3. 状況と相手に応じた切り替え:「熟練度×緊急度」のバランスを見て、手取り足取り対応するのか、任せるのか、振れ幅を調整します。
心理的安全性
- 1. 率直に話せる雰囲気:まずは否定せず受け止めることが重要です。受け止めた後は事実を整理し、次の一手の考察に進みます。
- 2. 挑戦を促す文化:小さなチャレンジを歓迎し、失敗を学びに変える前提があることを周知しましょう。
- 3. 学習を仕組みにする:1on1ミーティングや朝礼でのふり返りを定例化します。小さな成功の即時承認を習慣にすることで学習スピードも上がります。
リーダーの“能力”と“資格”の関係 — 学びを型にする
リーダーが体系的に学習を行う上で、PREP・傾聴・フィードバック・心理的安全性などを扱うセミナーの受講や、実践型の書籍を読むことは有効です。
また学習することで「苦手」や「不足」を抜け出し、自信をもって現場をリードできるようになります。
- 話が長い →PREPで30秒に要約
- 部下が相談に来ない →1on1と声掛けで聴く場を設計
- 指示が伝わらない →5W1H+優先順位+復唱+簡易メモ
- 育成が続かない →スキルマップと週次レビューで継続化
FAQ(よくある質問)
Q. リーダーに向いている素質は?
A. 誠実さ、公平性、向上心、現場への敬意などです。これは生まれつきではなく、日々の選択で鍛えられます。
Q. どんな研修が効果的?
A. 講義だけでなく、ロールプレイ → 職場実践 → フィードバックの三位一体で実施することです。報連相・指示・1on1・問題解決を自社課題で演習できると定着が早まります。
Q. おすすめの本は?
A. 技法が具体的で、現場での試し方まで書かれているものです。読みっぱなしにせず、現場での実践や上長と対話・フィードバックをもらうところまで落とし込めるのが理想です。
リーダーのコミュニケーションについて学ぶ!学習コースのご紹介
カイゼンベースの学習コースでは、リーダーのコミュニケーションに関する具体的な内容を動画や理解度テストにより学習することが可能です。詳細の学習や実践でのご活用をご検討の方は、是非ご活用ください。
学習コースの概要「hs-06:アニメで学ぶリーダーに求められるコミュニケーション」
リーダーに求められる役割、報連相、心理的安全性を高めるコミュニケーションについて学習するコースです。メンバーとの良好な信頼関係を築くことは、スムーズな業務遂行と目標達成を実現し、問題解決の対応力を向上させることにも繋がります。
学習コースの詳細
Lesson1:リーダーとコミュニケーションの役割(12分)
Lesson2:業務遂行のためのコミュニケーション Part1-リーダーに求められる報連相(16分)
Lesson3:業務遂行のためのコミュニケーション Part2-リーダーとしての役割遂行(17分)
Lesson4:関係性をつくるコミュニケーション(14分)
Lesson5:リーダーとしてのコミュニケーション力を磨く(17分)
「Lesson1:リーダーとコミュニケーションの役割」の動画はどなたでもご視聴頂けます。
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