カイゼンを通じて、日本の製造業の発展を支える
私は、岩手県で生まれ育ち、東京理科大学・大学院を卒業後トヨタ自動車株式会社に入社しました。「せっかくやるなら一番大変な部署を」と、当時一番過酷だと言われていた「生産技術部」を希望しました。その当時工場建設・ライン立上げ等、現場に近い業務を経験してきたことが、製造業・カイゼンの道に進み始めたきっかけです。生産ラインの立上げ業務は、ラインオフの納期との戦いです。
安全なラインをつくることは当たり前。ラインオフが間近である時に品質も生産性も規定水準以上を達成していない状況下では、本当に生きた心地がしなかったことを今でも覚えています。ただ、この時学んだ「現場の想い」「現場の厳しさ」は今でも私のDNAとして残っています。
トヨタ自動車に在籍している期間に、リーマンショックと東日本大震災を経験しました。「自分はこのままでいいのか」「何かチャレンジをしなくてよいのか」と、自問自答するようになりました。
1年ほど考えた結果、元々思いを抱いていた「いつか起業をしたい」という夢を叶える第一歩として、製造業向け大手コンサルティングファームへ転職することを決意しました。ただ、今思うと、この時とても安易な選択をしたなと思います。
当時私は、「コンサル会社なのだから、製造業の企業を支援する色々なツールが揃っていて、それを基に学べるはずだ」という具合に考えていたのです。しかし入社して2週間で「あぁ、やってしまったな」と思いました。
なぜならこの業界は基本的に「個人商店」の集まりで成り立っていることが分かったからです。製造業向けのカイゼンや教育を行っているコンサルタントは、大企業で役員や工場長を経験した人が転身して活動しているケースが圧倒的に多いのです。
すると必然的に、年齢層は高くなります。私が在籍していた時には、平均60歳くらいでした。戦略系のコンサルティング会社では20代が活躍しているイメージが強いのですが、それとは全く異なる業界でした。
そういった環境なので、ノウハウがデータ化されているということはありませんでした。教育を行うための資料や、カイゼンを教えるための指導書など、コンサルティングを行うための基となるノウハウが全くないといってよい状態だったのです。これは、業界の文化的なものだけではなく、コンサルタントの年齢的に資料作り等に長けている人が少ないということもあります。
例にもれず、私もほとんど何のインプットもないまま、即コンサルティング現場に投入されました。「自分で頑張ってこい!」「自分で稼がないと居場所がなくなるぞ」というように、突然崖っぷちに立たされました。
しかし、トヨタ自動車からの転職において周囲の人から散々反対されても押し切り転職した手前、「失敗でした」など言えず、「とにかく何とか自分で稼げるようになるしかない」という意地だけでがむしゃらに頑張りました。もう生活を掛けて必死です。そして、試行錯誤の末、2年後にはトップ3以内の成績を常時おさめられるようになりました(運も味方をしてくれたと思います)。お客様の前では、たとえ経験のない分野でも「もちろん出来ます!」と目一杯背伸びをし、次の訪問までに毎日深夜2時まで資料を作って平気な顔をしながら指導に臨む毎日を過ごしたことは、本当に良い思い出です(笑)
(この時作った資料は、いまのカイゼンベースのサービスの土台になっています)
創業のきっかけ
そんな期間を過ごしている中で、「コンサルタントである自分がこれだけ苦労しないと現場を変える指導ができないのに、いち企業の力でそれを行うのはかなり難しいのではないか」ということにも気付きました。また、コンサルタントがお客様との知識の格差を利用して、自分の知識を切り売りすることで商売をしている姿にも違和感を覚えるようになりました。言葉を選ばずに言うと、ただ知識を持っているだけなのに、とても偉そうに教えているコンサルタントを見ていて苦しくなりました。
「もっと必要な情報が手に届きやすい環境があれば、資金が潤沢でない会社でも自走できるようになるのではないか」
「WEBやITが進化した現代で、コンサルタントを呼ばなければ情報を得ることができないのは時代遅れではないか」
こんな気持ちが日に日に強くなっていきました。
そして、私が蓄積してきた各種ノウハウを、「もっと身近に活用できるサービスとして提供したい」という想いを胸に、カイゼンベース株式会社を立ち上げました。コンサルタントの同僚からは、「そんなことをしたらコンサルタントの仕事がなくなってしまうよ」という反対意見もありましたが、「絶対に必要なことだ」という勝手な使命感(若気の至り?)から走り続けて現在に至ります。
初めは教育の教材をeラーニングに置き換えることから始めましたが、現在では集合型研修の教材提供や、実践的なカイゼンのコンサルティングまで幅広く行っています(講師やコンサルタントの派遣も行っています)。
カイゼンベースの特長と業界への想い
現場だけではなく、間接部門も含め、eラーニングから実践のアウトプット、教育やカイゼン指導の内製化までの一連の支援を行っているカイゼンベースは、実は業界では珍しい存在です。教育の内製化を本気で支援しようとしている会社は知っている限り、他にありません。コンサルティング会社や研修会社はコンサルタントや講師を派遣して売上を上げるビジネスモデル故、内製化とは相反することが多いためです。また、日本語だけではなく、外国語(英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語etc.)への対応により国内外で同一水準の教育を展開するご支援も可能になりますので、こちらも他社にはない特長だと思います。カイゼンベースは、「カイゼンを通じて、日本の製造業の発展を支える」という使命を担っています。日本で生まれ、製造業の発展を支えてきたカイゼンですが、今では海外企業の方が積極的に推進しているケースが増えています。日本から学ぶことは無いというスタンスの国も近年増えているのが実情です。
しかし、私は日本におけるカイゼンはまだまだ第一線を走っていると思っています。日本ほど、現場の1人1人がカイゼンに真摯に取り組める国はほかにないと確信しています。私達は、カイゼンを起点とした人材教育、工場改革のノウハウや文化を日本を起点に発信したり支援したりすることで、日本の製造業の輝きを取り戻し、そして世界の製造業の発展に貢献していきたいと考えています。
「カイゼンによる変化を通して、社員1人1人が成長する」
「カイゼンを通して働く仲間との絆を強くする」
「カイゼンの結果、みんなが豊かで幸せになる」
カイゼンベースは、そんな環境をどんな会社でも体験できるよう、「カイゼンのインフラ」を国境を越えて創っていきたいと思います。
~カイゼンをもっと身近に。カイゼンを世界へ~
カイゼンベース株式会社
代表取締役 藤澤 俊明